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夜通し車を走らせて明け方近くになってようやく山奥の廃墟にたどり着いた。
その廃墟は試し打ちに来たときに確認していた、近くには民家も無く車もほとんど通ることは無いが、念のため乗ってきた車が見えないように建物の裏手に停めると再び目出し帽をかぶった。
意識を取り戻して暴れる4人の男たちを1人ずつ小屋の中へ運び込むと、最初に早川の目隠しと猿轡をはずした。
「だ、誰だ、お前は誰だ。頼むから許してくれ、俺は何も知らないんだ。ただこいつらにあの女を自由にさせてやるから来いと言われて行っただけだ、頼む、許してくれ」
手足を縛られたまま涙を流して頭を動かしている。
近くにいた大山はそれを聞いて猿轡の下で唸りながら首を振っている、早川の言っていることを否定したいらしい。
「そっちの唸っている奴は、お前の言っていることは違うと言いたいみたいだな、どちらが正しいか聞いてやりたいが、もうそんなに時間も無いから、とりあえずお前の知っていることを全部話してもらおうか」
雄治はいつもの声で話しているが、その声に気が付かないほど早川も大山も動揺しているようだ。
「わ、わしは何も知らん、全部大山が仕組んで、俺はただそれに乗っただけだ」
雄治が目出し帽を脱いで早川を睨みつけると、早川は目と口を大きく開けて雄治を見た。
「今更何も知らないは無いでしょう、菱営商事の飯田や、古河って奴とつるんで、何をやったんですか、ねえ、早川さん?」
早川はただ呆然と雄治を見ているだけで、何も話そうとしない。
「なんだよ、部下だとわかったらだんまりかよ、お前が飯田たちと会っている証拠の写真を持っているんだよ、恭子がお前たちの関係に気づき、それで古河って奴に頼んで事故に見せかけて恭子を殺したんだろ?金を渡してよ」
目隠しをされたままの大山も、ようやく目出し帽の男が雄治だと気づいて呻くのもやめて黙った。




