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復讐の狂鬼  作者: 赤岩実
罠を仕掛けろ
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3

「そうか、あいつそんなことを・・・それじゃあしかたないな、実は、本当は言いたくはなかったのだけれど、自殺した清水さんのことなんだ」

「裕子さんが何か?」

 川上は真剣な目で、少し体を乗り出した。

「彼女の自殺の原因は、おそらくレイプされたからだと思う」

 雄治が小声で言うと川上は驚いて口を手で押さえるようにして目を大きく開き絶句している、雄治はタバコに火をつけて飲み残しのビールを流し込んだ。

「レイプ?どうしてそんなことを知っているんですか?」

 今度は怒ったような目つきで雄治を見た。

「実は俺にはある情報提供者がいる、どうやって撮影したのかわからないが、レイプされている清水さんの画像が自宅のパソコンに送られてきた」

 川上は動揺を隠せないようすで、信じられないといった顔をしている。

「でもそれと、課長からの誘いと何が関係あるのですか?」

 雄治は、ゆっくりと煙を吐き出してタバコを消した。

「レイプされた場所は会社の事務所、そして犯人は、大山と菱営商事に関わる暴力団の男だ、恐らく大山がセキュリティの厳重な事務所の中に男たちを招き入れ、残業のために残されていた彼女を襲ったに違いない」

 川上は今にも泣き出しそうになりながら怯えている。

「もしも私が誘いにのっていたら、私が裕子さんと同じ目に遭ったかもしれないってことですか?」

 雄治は無言のまま頷いた。

「いくらなんでも上司に、しかも会社の中でそんなことされたら・・・裕子さん・・・」

「それから、先日突然会社をやめた総務の・・・」

「緑ちゃんですか?」

「名前は知らないが、あの子も犠牲者だ・・・」

 川上はとうとう泣き出してしまった。

「大山と菱営商事、そして暴力団、こいつらが恭子を偶然に見せかけて殺した可能性もある」

「ほ、本当ですか?恭子が撃たれたのは偶然じゃないのですか?」

「今は可能性がある、としか言えない、でも俺はその証拠を掴みたいし掴んでみせる」

 川上は下を向いてハンカチで目のあたりを拭っている。

「本当は君にこんな話をするべきではなかったと思っている、しかし、君を大山たちの犠牲者にするわけにいかない、恭子と特別仲が良く、俺にとって良き仕事のパートナーの君だからだ」

 その言葉を聞いた川上が突然顔を上げた。

「斉藤さん、私に何か出来ることはありませんか?もし恭子のことが偶然でないなら、私、絶対に課長たちを許せません」

「それはあまりにも危険だ、君を危険な目に遭わせるわけにはいかない」

「でも、私が囮になれば、確たる証拠をつかめるかもしれないじゃないですか!」

「そんなことできるわけがないだろ!」

 思わず大声を上げた、しかし川上は怒った目で雄治の顔を見据えている。

「怒鳴ったりしてすまない、囮なんて、もしものことがあったらどうするんだ」

「そうならないように斉藤さんが守ってくれれば良いんです」

「あのなあ・・・」

 雄治は呆れた顔をして川上を見た。

「お願いです、手伝わせてください、私も恭子の仇を討ちたいんです」

 こいつは昔から、言い出すと聞かないんだよな・・・そう思って雄治はタバコに火をつけると、考えこんでしまった。

「タバコ、吸いすぎです。恭子にやめるように言われていませんでした?やめた方が良いですよ」

 恭子の言葉を思い出した。

「結婚したらやめる約束をしていたんだ。恭子のことをはっきりさせたら、やめるよ」

「斉藤さん、やはり私が囮になります。食事とか外で会うと万が一のことがあるので、残業なら」

「君はあいかわらず言い出したら聞かないな。わかったよ、でも本当に危険だと判断したらやめさせるからな!これは命令だ!」

「はい、わかりました」

 雄治は念のため、自宅近くまで送り届けると、日付が変わる頃になってアパートへ戻った。

 翌日、雄治は押入れの奥からあの箱を取り出した。ホルスターはベルトを通して腰の後ろの部分につけられるようになっているため、ホルスターだけ着けてみてスーツの上着を着てみる。ブルゾンやジャンパーのようにふくらみが無いため、スーツだとやはり目立ってしまう。とりあえず鞄の中に入れて持ち歩き、タイミングを見計らって着けるようにするしかないと思い、銃などを全て入れておける鞄を買いに出かけた。

 普段使っている物と同じメーカーで、一回り大きなジュラルミンケースを選んだ、その帰りにホームセンターで硬質のスポンジや強力接着剤などを買い、スーツケースの中で銃などが動いたりしないように細工を施し、鞄を明けてもいきなり銃が見えないように中に蓋も作って隠せるようにした。

 いくら軽いジュラルミンで出来ているとは言え、銃や弾丸の箱、予備弾倉などを全て入れてみるとアタッシュケースはかなり重くなったが、これからは毎日これを持って行動するしかないと思った。

 日曜日の夜、銃にサイレンサーを着けて予備を含む全ての弾倉に弾を込めた、そのうちの1本を銃に装填してスライドは引かずに銃をホルスターに入れ、予備弾倉、そして銃弾1箱を改良したアタッシュケースに入れた。

 ここまで来たらもう後戻りはできないと考えていた、本当は川上を巻き込みたくはなかったが囮になってくれれば確かに証拠は掴みやすい、これからは毎日トカレフを持って出社し、やつらが罠にかかるのを待つと決めた。

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