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移動の途中、昼休み時間を見計らって川上の携帯電話に連絡を入れた。
「斉藤だけど、今、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「遅くても来週の月曜には会社に復帰するから、申し訳ないが総務へ手続きしておいてくれ、それから今、大山課長は席にいるか?」
「いいえ、今日はお休みですが、ここ数日、菱営商事の飯田さんに呼ばれて外出することが多くて、あまり席にいることはありません」
「そうか」
「斉藤さん、実は最近、課長から誘われることが多いんです。飲みに行こうとか、食事とか」
大山たちは、次は川上を狙っていると思った。
「川上さん、その誘いには絶対に乗るなよ!今はまだ理由は言えないけれど、大山の誘いには絶対乗っては駄目だ」
雄治は思わず大山を呼び捨てにしていた。
「それから、残業を言い渡されても、今週は絶対に断れ!何があっても絶対に断るんだ、良いね」
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
かなり力が入った雄治の強い口調に川上は驚いた。
「今は話せない。俺が会社に出社したら話すから、大山の誘いはうまく理由をつけて絶対断るんだ」
「何があるのかわかりませんが、わかりました。誘いも残業も断れば良いんですね」
「そうだ、これからは1日1回必ず君の携帯に連絡を入れる」
「わかりました、では総務への手続きは済ませておきます」
雄治は電話を切ると、車を飛ばした。




