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点けたままにしていたテレビから、女性アナウンサーの少し冷静ではない声が流れてきた。
『東京都世田谷区のマンションに住む、コンピュータソフトウェア会社勤務の清水裕子さんの遺体が発見され、警察では自殺と見て関係者から事情を聞いております・・・』
「清水裕子?」
雄治はテレビに釘付けになった。
「清水さんは、先日、暴力団抗争で犠牲となった松田恭子さんと同じ会社に勤務する社員で・・・」
「清水さん・・・」
清水裕子は雄治の仕事のパートナーの1人だった、しかし、彼女が自殺する理由がわからない、まさか彼女の死にも大山たちが関係しているのではないかと思った。
すぐにパソコンを立ち上げてニュースサイトを確認したが、テレビで報じられている内容とさほど変わらないため雄治は川上の携帯に連絡を入れた。
「もしもし・・・」
川上が怯えたような声で電話に出た。
「斉藤だけど・・・川上さん?」
「はい、裕子さんの件ですよね?」
「そうだ、聞いたか?」
「テレビで見ました。会社に向かっている途中なので、あとでメールします」
「わかった、じゃあ、待っているから」
電話を切り、パソコンを点けたままテレビのニュースに耳を傾けた。
いくつかの局を見たが、発見者は同居していた妹で、遺書は無いため自殺の動機はわかっていないが現場の状況などを考えると、ほぼ自殺に間違いないとのことだ。
「いったい何が起こっているんだ、なぜ俺の周りでこんなことばかり起こる」
その時、パソコンのメール着信の音が鳴った、川上からのメールだと思って開いてみると、自分宛の名前があるだけで画像ファイルが添付されているだけのメールだ。
画像ファイルを開いてみると、またしても社内が写っていて、しかも3人の男性に暴行されている女性、写っているのは清水裕子だ。
メールの差出人アドレスを見てみると、自分が会社で使っているアドレスになっている。
「なりすましか?しかも俺のアドレス?それにしても、こいつはどうやってこんな画像を入手することができるんだ?あんな銃まで簡単に手に入れることができるなんて、到底うちの社員にできるようなことじゃない。それにしても大山たちのやっていることは異常だ、もうこれ以上犠牲者を出すわけにはいかない。きっとこの情報提供者は俺に行動を起こさせようとしている、もはや悩んでいる暇はないのかもしれない」
雄治は震えるほどの力で拳を握り締めた。
しばらくして今度は川上からメールが届いた、報道されている以上のことはわからないが川上は3日前に裕子と昼食を共にしたらしく、その時は何かを悩んでいるようすは無かったという、そうだとすると裕子の自殺の原因は、送られてきた写真にあるように暴行されたからに違いないと思った。
暴力団を相手にしなければならないから拳銃が必要なのだろうと思った、すぐにインターネットで銃の分解や清掃方法、照準の合わせ方などを印刷して調べてみると、持っているトカレフにはサイレンサーが取り付けられるように特別に銃口に溝が切られていることがわかった。
雄治はトカレフと銃弾、印刷した資料をアタッシュケースに入れると、急いで車に乗って群馬北部の山中を目指した。




