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復讐の狂鬼  作者: 赤岩実
報告書
20/73

10

 数日後、恭子の葬儀が終わって最後の別れを告げると、遺品を両親に渡してアパートに戻った。

 あの夜、恭子が撃たれたことも、恭子が作成した報告書を送った途端に山本さんが襲われたことも、画像ファイルの存在を知らない警察は両方の事件は何の結びつきも無く、あくまで恭子の事件は流れ弾によるものだと思っているようだ。

 しかし、雄治はあの画像ファイルを見る限り恭子の事件は偶然ではなく、山本さんが襲われたのも何らかの関係があると思いはじめていた、あの画像ファイルに写っていた早川、そして菱営の2人と暴力団風の男、あいつらは必ず何かを知っている。そんな気がしてならなかった。

 そんなことを考えていると、突然ドアポストに何かが投げ込まれた。ドスンという大きな音とともに階段を駆け下りていく音が聞こえたため、慌ててドアを開けて覗いて見たが走り去る人の姿は見えなかった。

 不審に思いながらも、投げ込まれた厚みのある封筒を手に取ってみる。包みには斉藤雄治様とだけ書かれていて差出人の名前など無いが、とても爆発物と思えるような大きさではないため、強引に封筒を破いてみると、2重になった封筒の中には厳重に梱包材に包まれたケースにCDが1枚だけ入っていた、雄治は梱包材を強引に破り捨てるとケースからCDを取り出し、ポータブルプレーヤーに入れてイヤーホーンをつけて再生した。

 ザーッという雑音が少し聞こえた後に、聞き覚えの無い低い男の声が聞こえる。

「あの女に見られただと?」

「はい、申し訳ありません。まさか探偵のような真似までしているとは」

「馬鹿野郎、バレてしまったらクビになるぐらいじゃ済まないぞ、なんとかしろ!」

「まぁまぁ飯田さん、あの女の口は我々が封じますから、我々に任せてください」

「古河さん、どうか、よろしくお願いいたします」

 その声の後ろに、ゴソゴソと紙袋から何かを取り出すような音が聞こえる。

「お手数をおかけします。これは少ないのですが、皆さんで・・・」

 早川たちの会話を録音した音はそこで途切れた、どうやら古河という男が暴力団風の男で、他には飯田がいて山形がいる。

 録音状態があまり良くないので、もう一度聞こうとすると音声には続きがあり、今度は変声器のような物を使った男の高い声がしてきた。

「斉藤雄治さん、お前さんの女・・・松田恭子さんを襲ったのは、古河の手下だ、あの日の夜、成川という暴力団の男を殺し、その流れ弾が偶然に当たったように装って、あんたとあんたの女を襲った」

 雄治はその言葉に耳を疑った。

「もし復讐したいと思うなら、明日の夜9時、新宿歌舞伎町のはずれにあるクラブ蘭へ来い、カウンターに座ってバーテンの男に佐藤と名乗れば、あんたに復讐のチャンスを与えてやる」

録音された音声が終わり、プレーヤーは停止した。

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