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復讐の狂鬼  作者: 赤岩実
ささやかな幸せ
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2

 少しだけ眠ることが出来て電車が会社の最寄り駅に近づくと、セットしておいた目覚ましで携帯電話がブルブルと震え、振動で起こされた雄治はゆっくりと顔を上げた、眠い目をこするようにして目を開けると目の前には恭子が立っていた。

「おはよう、もうじき駅に着くよ」

「お、おはよう」

 雄治は、なんとなく気まずそうに恭子を見た。

「良く寝ていたね、昨日も遅くまでテレビ見ていたの?」

「いや、お前からのメールを待っていた、俺の方こそ土曜日は悪かったな、ごめん」

「ううん、もう良いよ、私こそごめんね」

 駅に着いて電車を降りて改札を出ると寄りそうように会社に向かって歩きはじめた、10分ほど歩いた12階建てのオフィスビルに入りエレベーターで自分の部署がある8階へと移動する。

 雄治は、準大手のコンピュータ会社に勤務するシステムエンジニアで、社内では特別優秀ではないが中堅社員として面倒見が良いから後輩たちからは慕われているが、上司とはあまり仲が良くない。

 雄治がエレベーターを先に降りて恭子と笑顔で別れると、廊下に設置された自動販売機で缶コーヒーを買ってからIDカードを機械に翳して事務所に入った。

 フレックス勤務を使っている社員が多いため、いつも早めに出勤する雄治が事務所に入っても他の社員はまだほとんど出社していない。

 自分のロッカーから書類ボックスとノートパソコンを取り出すと、部長の席から一番離れたいつもの席に荷物を置き、ノートパソコンの電源ケーブルを繋いでスイッチを入れてから喫煙室に入り、缶コーヒーを飲みながらタバコに火をつけた。

 毎日見ている都会の殺風景とも言える景色、それを茫然と眺めながらタバコを吸い終えると席に戻ってパソコンにログインして今日の予定とメールをチェックすると、いつものように課長の大山から嫌味満載のお小言メールが届いている、送信日時は昨日、つまり日曜の夕方になっているから自宅からわざわざメールしてきたようだ。

「まったく、この使えねえクソ野郎が」

 周りに誰もいないのを良いことに声を出して吐き捨てるように言うと、そのメールのせいで憂鬱な月曜の朝がいっそう不快になって思わず舌打ちした。

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