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携帯電話の着信音で目が覚めた。
「もしもし、斉藤ですが・・・」
少し寝ぼけた声で電話に出ると、電話の向こうで川上が叫んでいる。
「斉藤さん、大変です、本部長が、山本さんが・・・」
「なんだ、何があった、落ち着いて・・・どうした?」
「山本さんが何者かに襲われました」
「なにっ?山本さんが?それで、容態は?」
「幸い、本人の意識はあるのですが・・・」
「わかった、病院は?」
「調布の総合病院に運ばれたそうです」
急いで支度を整えるとアパートを出て病院へ向かった。
病院には、川上と会社の総務の担当者が数名来ていた。
「斉藤さん・・・」
川上は目を真っ赤にしている。
「山本さんは?」
「精密検査が終わって、総務部長と、本部長の奥様が先生から説明を受けています」
「そうか」
不安を感じながらロビーで待っていると2人が部屋から出てきた、何度か山本の家に招かれたことがあったため山本の妻とは面識がある。
「奥様・・・」
「斉藤さん、このたびは・・・」
「私のことより、本部長の容態は?」
「幸い骨や脳に異常は見られないし、本人の意識もはっきりしているから2、3日ようすを見て、特に異常が無ければすぐに退院できるだろうって」
「そうですか、それは良かった」
「斉藤さんこそ、大変なときにわざわざ来ていただいて、すみません」
「気にしないでください、それにしても大事にいたらなくて良かった」
ほっと胸をなでおろした、しかし、山本が襲われたとなると、ますます恭子が撃たれたことが偶然ではないように思え、早川たちへの疑いの念が強くなった。




