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復讐の狂鬼  作者: 赤岩実
報告書
17/73

7

「雄治くんか、どうした?」

 まだ父親の声には元気がない。

「恭子さんの会社の荷物を預かっているのですが、もう少しだけお借りして良いですか」

「そうか、構わんよ。私もまだ見るのは辛い・・・」

 とりあえず葬儀の日程などを確認して電話を切ろうとしたとき雄治は父親に尋ねた。

「ところで、お父さんたちの結婚記念日って、いつですか?」

「12月17日だよ、昭和62年の12月17日だが、それが何か?」

「実はあの日、恭子さんの希望で今年の12月17日に結婚式の予約を入れたのです。恭子さんがどうしてもその日が良いと言って・・・」

 父親が少し涙声になったので、それ以上は何も言わずに葬儀には必ず出席するとだけ告げて電話を切った。

 すぐにパソコンに向かって数字を入力してみる、昭和62年だから1987年、“19871217”と入力してエンターキーを押すと、ついにUSBの中身が表示された。

 USBメモリの中には、報告書と思われる文書データのファイルが2つあり、その他には画像ファイルが20以上入っている。文書データの1つのファイル名が“雄治へ”となっていたため、雄治はそのファイルを開いた。


 雄治へ

  このファイルを雄治が見るときは、私の身に何かあった時でしょう。

  もしこのファイルを他の誰にも見られることなく雄治が見たなら、

  もう1つのファイルを誰にも渡さず、葬りさってください。

  私は、山本本部長の指示で、社内の不正を暴くことになってしまいました。

  およそ20枚ある画像ファイルは社内の者による不正の証拠です。

  しかし、いまだ黒幕が誰なのかわかっていません。

  どうかこの資料は捨ててください。

  このファイルの存在が知れて、もしも雄治の身に何かあったら・・・

  私は、これ以上雄治を不幸にしたくない。

  だから私のことは忘れて、このファイルを誰にも知られることなく

  処分してください、お願いします

                            恭子


 読み終えると数枚の画像ファイルを開いた、そこには6人の男が写っていて、顔が見えるのは暴力団風の男が3人、その他には雄治が担当している賠償問題になりそうになっていると言われていた案件に関係している、菱営商事の飯田専務と山形部長、そして、問題だと言って騒いでいた早川部長の顔がはっきりと写っている。

「飯田さんと山形さん、それと早川部長が、なぜ暴力団風の男と会っているんだ?」

 残りの全ての画像に目を通した、画像には撮影した日付が入っていて、それは雄治が山本に相談した日から、およそ1ヶ月後の日付になっている。

 雄治は写真を見ていて、もう1つ気になることがあった。

 早川、飯田、山形が頭を下げている男、その顔が写っている写真は無いが、スーツの着こなしや風貌は暴力団風ではないようで、もしかしてこれが黒幕なのではないかと思った。

 恭子はこの写真を撮り、事が明るみに出ることを恐れた者たちによって偶然を装って殺されたのではないかと考えはじめた。

「これを公表したら・・・でも黒幕の正体がわからなければ、早川たちはトカゲの尻尾切りのように切り捨てられるだけかもしれないな、こうなったら俺が黒幕の正体を突きとめるしかない」

 そう思いながら山本への報告書と思われる、もう1つのファイルも開いた。

 報告書には写真の存在や、早川部長のことは一切書かれておらず、いくつかの事象を挙げた上で、菱営商事は裏で暴力団との関わりがあるので取引には注意が必要であるとだけ書かれていた。

「もしかして、これも会社や山本本部長の身を案じたのかもしれないな。とりあえず写真のことは書かれていないから、このままメールしておくか」

雄治は報告書のファイルだけをメールで送った。

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