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「この消しゴムは確か・・・」
1つの消しゴムを取り出すと紙から引き抜いた。それは消しゴムの形をしたUSBメモリだった、恭子がこれを買った時の話を思い出す。
「このUSBメモリ、本物の消しゴムみたいだね。他にもお菓子のやつとか、変なやつがいっぱいあるけど、これにしようかな」
「別に普通のやつでいいだろ」
「普通のだと、可愛くないし、なんかつまんないもん」
「それだって別に可愛くはないだろう、それならまだお菓子のやつとかの方が可愛いだろ」
「そうだけど・・・」
そう言って少し不機嫌そうに雄治を見た恭子を思い出した、恭子は結局その消しゴム型のUSBメモリを買ったが、そのすぐ後に会社で私用USBメモリが使用禁止になった。
「これは使っていないはずなのに、筆箱に入れておくなんて・・・きっとこれだ、この中だ」
雄治は自分のパソコンの電源を入れてUSBメモリの中身を確認しようとしたが、またしてもパスワードに阻まれた、そして雄治はこの中に資料があると確信した。
パソコンのパスワードと違い何度間違えてもロックのかかるような高度な物ではないため、思いつく範囲で数字と英文字の羅列を入力していったが、このパスワードもそんなに単純な文字列ではなさそうだ。
雄治は、他に何かパスワードの手掛かりになりそうな物を探そうと、残りの私物を確認しようと卓上カレンダーを手に取った。
カレンダーには色々と書き込んである、仕事の打ち合わせ予定、自分とのデートには雄の字を丸で囲んであり、友人の誕生日らしき日にも印が付いていた、これにも特別な暗号やヒントになりそうなものは無さそうだと思って捲くっていくと12月を見て疑問に思った。
「なんで、この日に印が付いているんだ?」
それは、恭子が殺された日に2人で結婚式の予約を入れた日だった。
「先週末の時点では式の予約はしていなかったはず、どうして恭子はこの日に印を付けたんだ?」
そして、結婚式場で恭子が言っていた言葉を思い出した。
「年内には式を挙げたいけど、式はいつにしようか?」
「私ね、結婚式は絶対にこの日が良いって思っている日があるの」
そう言ってカレンダーを指さした。
「12月17日、私の両親の結婚記念日なの」
「なんで、ご両親と同じ結婚記念日が良いの?」
「うちの両親ってとっても仲が良いでしょ、だから私たちも同じように仲が良い夫婦になれたら良いなあって思って」
雄治は、早速日付を入力してみたがエラーになった。
今度は“20131217”と式場を予約した日を入力してみても結果は変わらなかった。やはり手掛かりはないのかと諦めかけ、荷物を預かっていることを両親に知らせようと思い、恭子の実家に電話を入れた。




