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山本は部屋を出て雄治に缶コーヒー買ってくると、会議があるからと言って席をはずした。
「あいつ、本部長からこんなに重要なことを頼まれていたのに何も言っていなかったよな、この仕事は俺が担当していたことは知っていたはずだし、何か話してくれても良かったのに」
雄治は恭子がそこまでして秘密にしなければならなかったことをどうしても知りたくなった。
「お前はいったい何を調べていた?そして何を知ったんだ?山本さんに報告しようとしていたことは、とてつもなく重要なことに違いない」
そう思ってパスワードを考えていて疑問に思った。
「待てよ、本当に秘密にしたい重要なデータをパソコンのディスク上に保存しておくかな?俺だったら誰かに見られたくないデータはUSBメモリとかに保存してディスクには残さないぞ」
そう思うとパスワードを考えるのをやめ、恭子が別の媒体に保存している可能性を考えた。
まず、サーバには絶対に入れていないはずだ、重要な報告書をまとめるのに会社でやっているとも考えにくいが、確か自宅のパソコンが調子悪いから時間の空いたときに見に来てくれと頼まれていたことも思い出した。
もし会社で作業していたなら必ず何らかの外部媒体に保存しているはずだと考えた、しかし、社内規定でUSBメモリの接続はシステム管理部に事前に許可を取るか、社内仕様で決められた基準の物しか使えないはずで恭子がそれを知らないはずはない。
2時間ほどして山本が会議から戻ってきた、雄治がまだパソコンの前で頭を抱えているのを見て、ますます焦りの色が濃くなってきた。
「斉藤くん、まだか?まだわからんのか?」
「やはり難しいですね、いくつかやってみましたが、これ以上やるとロックがかかってしまうので」
「だめか、君ならなんとかなるかと思ったのだが」
「パソコンを家に持って帰ってはだめですか?もう少し考えてみたいのですが」
山本は何やら考えている。
「しばらく休みをいただいているので、その間に考えてみたいんです。それと、恭子の荷物も貰って行けば何か手掛かりがあるかもしれません」
山本はまだ何かを悩んでいたが、少し考えて頷いた。
「わかった。パソコンを勝手に社外に持ち出すのはまずいが2、3日ならなんとか誤魔化そう。パスワードの解読ができてファイルが見られるようになったらメールで良いから大至急送ってくれ。それから、松田くんの備品は明日にでも君の家に送るように川上くんに頼んでおく」
「わかりました、お願いします。ではこれは預かっていきます」
パソコンをアタッシュケースに入れると、帰りも誰にも会わないように会社を出て駐車場へ急いだ。




