ねこの共和国
ミカは、パパが大好きです。
パパの作った 空気のよごさない
新しい車をつくりました。
明日、ためし運転をかねて、ドライブに出かけます。
ミカのパパは発明家です。
ある日、ガソリンのいらない
かんきょうにやさしい車をつくりました。
「さあ、明日はドライブだ」
パパは、しあげのせいびに
よねんがありません。
コーヒーを飲みながら
パパがいいました。
「あした、ちょっとためしにドライブして
みるか」
待ちにまった朝がきました。
ブルルルルッ
しゅっぱぁーつ しんこーう
少しすすんだときです。
茶色い風が吹きぬけたみたいです。
「ねぇ、パパ 今 変なもの 前を通らなかった?」
「え!!」
パパはびっくり…。
急ブレーキをふみました。
見ると、きれいなねこが、一匹
足をくじいたみたいです。
プリプリしながらいいました。
「まーったく どうしてくれる
この足じゃ 会議に間に合わない」
「すいません なんなら お送りします」
「あっ そう そいつはありがたい!!
これが地図だ。よろしく頼む!!」
ねこはさっさと乗りこみました。
「行き先はねこの共和国、私は、フーともうす」
「オッケー しゅっぱつ しんこうー」
地図で行くと こうですな
ねこのフーが ゆびさしました。
しばらく すすんで、水の国にさしかかったときです。
ミカが さけびました。
「パパー 目の前に 何かいるー!!」
キキー
今度は、うまく止められました。
見ると 杖をついた魚が一匹いました。
けれど腰がまがっていました。
「どうしたの? その腰、少しまがっている!!」
すると、魚がこたえました。
「川の水がの~ だんだん汚れてきたからの~こうなった。
すまんが会議があるのでのー。
ねこの共和国まで
乗せてくれんかの~」
するとフーが顔をだしていいました。
「何というぐうぜん!! 私もそこへ行くところ!!
さっ!!乗りたまえ!!」
魚はさっと乗りこみました。
「オッケー しゅっぱつ しんこー」
しばらく 行くと
シュワー シュル シュル シュルルー
グサリーン
車の上に何かが つきささりました。
見ると 流れ星がささっているでは
ありませんか。
でもなぜか マスクをしています。
「どうしたの 星さん、カゼをひいてイるの?」
星がこたえました。
「イヤ~ ココノ空気ハ ヨゴレテルネ~
アンマリ ヒドインデ ゼン息二ナリマシタ。
スマナイガ、会議ガアルノデ、ねこの共和国マデ
乗セテッテ クレナイカ」
するとフーと魚が顔を出していいました。
「何というぐうぜん!! 私たちもそこへ行くところ!!
さっ 乗りたまえ!!」
「もう 乗ってま~す」とミカ
パパはくすっと笑いました。
「オッケー しゅっぱつ しんこうー」
車は、どんどこ走り
木の国へさしかかりました。
キキー
パパが誰よりも早く前の木の枝を見つけました。
ミカがいいました。
「まあ どうしたの、その葉っぱ 今にも全部落ちそうよ」
木がこたえました。
「こりゃ、サンセイ雨のせいですわ。だんだん森が死にますわ。
すんまへ~ん、会議があるさかい、ねこの共和国まで乗せておくれやす」
するとフーと魚と星がいいました。
「何というぐうぜん!!私たちもそこへ行くところ!!
さっ 乗りたまえ!!」
車の中はいっぱいです。
ミカが地図を見ながらいいました。
「ねぇ パパ この森を過ぎると未来の国よ、
いったい どんなところかしら・・・」
ビューン
森をぬけました。
???
なんとそこは 月の砂ばく
サラサラ サラサラ
車は、どんどん 沈んで行きます。
「きゃぁ パパ 早く!!」
その時です。
パカッ
上のほうで大きな音がしました。
スルスルスル
長い 長~い なわバシゴが降りてきました。
月の方から 黒いねこがさけびました。
「お~い フー ずい分 遅かったね」
「やぁ お久しぶり!!」
ねこのフーは、みがるに登って行きます。
みんなも どんどん登って行きました。
「ちぇっ 人間は、ここじゃぁ まずいんだよな~」
黒いねこがいいました。
フーは、何やら ないしょ話をしていました。
「ここに入るには 一つ方法があるから それでいこう」
それは、とても広~い会場でした。
さぁーて、ただ今から ねこの共和国に
おきまして、『われら地球』と題しまして
ねこの共和国の わーるど大会を開きたいと思います。
ペチペチペチ
少しこもった 拍手です。
フーが、立ち上がりました。
「さて、今日のゲスト、腰のまがった魚氏、
ぜん息の星氏、若ハゲの木氏をご紹介します!!」
フーは、広い会場を見回しました。
「おわかりですかな? これらはあの!! 人間のしわざ、であります!!」
会場がどよめきました。
「このじたいを、許せるでしょうか!!」
「許せな~い」大がっしょうです。
「地球にとって、人間は、有害いがい
何ものでも ありません!!」
「その と~り~」
「さらに 私は見たのです」
ねこの声は、にゃごーごー にゃごーごーとひびき、
パパは、とうとう眠ってしまいました。
ミカは、少し恥ずかしくなって 小さくなっていました。
フーの声は、さらに大きくなります。
「われわれの 仲間のねこが~ねこダンゴにされ
ねこのカンヅメとなって 売られているのであります!!」
「・・・・・」
ねこたちは、ショックのあまり声も出ません。
プ ――――
ミカは、とうとう ふき出してしまいました。
その時です。ねこのリーダーが、立ち上がりました。
「そこにいるのは、人間だな~。人間ダンゴにして、食ってしまえ~」
何千 何万匹というねこが こちらへ向かってきます。
「キャ~ パパー 助けて~」
パパはやっと起きて、ミカを抱えて
スタコラ 逃げました。
ピョンピヨン ピョンピヨン
あとから あとから
ねこが、わいてくるみたいです。
「パパー 恐いよ~」
「ママー 助けて~」
ドン ドン ドン
そーと目を開けると、朝になっていました。
ニコニコしながら ママが立っていました。
「ハイ! コーヒーとサンドイッチ!
今日は、とってもいい天気! ドライブ日よりね!!」
ふとママが車の中を、のぞきこんで叫びました。
「まぁ どうしたの? 車の中 砂だらけよ!!」
おしまい
夕日がしずむ時、山に登ったら
もう一回 夕日がしずむ時が見られる
そんな夢を見ました。
それがねこの共和国だったような気がします。