デビニル=アクスの抵抗
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まだ息があるんだな……。 止めを刺してやるっ!! 《岩石刃》!」
プラムは虚空から岩でできた鋭利な剣を生成した。
デビニルの目の前まできて、首元を狙い定めて剣を振り降ろす。
だが、その攻撃は途中で見えない壁に当たるような感触をし、持ってた剣が弾かれた。
「なぁっ!? いつの間に防御魔法を……」
「……《範囲捕縛》」
範囲以内の敵対存在を魔力で生成された紐で、プラムとギリギリで範囲内に入ってた俺が束縛された。
「くっ……!」
「手足が……、クソッ……! アメリア! 逃げろっ!」
「待っててください、助けます! 《光槍》」
アメリアは光の槍を生成し、この状況下での集中力により魔力制御が飛躍的に上がる。
槍を上手く紐に当たるが、束縛から解除されずに弾かれた。
「なんで……。 だったら《閃光の斬撃》」
「アメリア逃げろっ! いくら弱体化くらっても、お前一人じゃ勝てないから今のうちに逃げろ!」
アメリアが放った魔力による斬撃も無意味だった。
「クソッ、解けねぇ…。 抵抗してやるよ!《パペット》、《支配》、《強風蹴》!」
《パペット》により石レンガを手と剣へと変形させ、《支配》で手を操って紐を斬ろうと試みる。
《強風蹴》で足に風を纏わせ、脚力を上げてジャンプしようと抵抗する。
だが、それは無理だった。
余程、あの魔人のステータスが高いのだろう。
自分たちのことで精一杯だった俺は、魔人の変化に気づかなかった。
さっきまで戦っていた魔人は、灰色だった肌が青黒くに変わっていて《光線が降り注ぐ雨》によって風穴が空いた傷が塞がっていた。
ニヤリと笑ったと思ったら一瞬で姿を消し、いつの間にか俺の後ろにいた。
「なんだ……、この違和感は……。 ぐぁあ゛ぁぁ」
束縛によって体が崩れなかったせいで、 一瞬で違和感に気づかなかった。
気づいたのは、魔人が千切れた俺の脚を持っていたのを見たからだ。
俺の脚があったところから、大量に出血している。
「「ユウスケ(さま)っ!!」」
プラムとアメリアが俺を名前を叫んだが、今はそれどころじゃない。
苦痛により言葉が発することが難しく、唱えることもできない。
「……お前だけだ、厄介なのはお前だけだ! まぁいい…、その体じゃさっきの剣で攻撃できないだろう……」
「ひ、ひ、《ヒール》ぅ……」
苦痛により呂律が回らず、やっとの思いで魔法を唱えることができた。
《ヒール》により体が斬られる前の状態に巻き戻す。
「「……はぁ?!」」
プラムと魔人が何の魔法を使って何が起きたのか分からないでいる。
「そんなのありかよ……」
「何だ…、今の魔法は……。 我も見たことがない……」
立ち止まっている場合かよ!
「何としてもこの捕縛から抜け出してやるっ! 《身体強化》、《アクセル》、《強風蹴》!」
《身体強化》で各ステータスを底上げし、《アクセル》でAGIを10倍まで上げる。
これで繰り出される《強風蹴》により、音を置き去りできる速さまで届くであろう。
制御ができるとは言ってないが。
俺はかなり強化された脚力で全力で捕縛に挑む。
「うぉおおおおおー! 剥がれろぉお!」
「……はっ!? …逃がしやしねぇ、くたばれニンゲンっ!!」
俺が踏ん張っているところに、魔人の拳が高速で向かってくる。
この強大な脚力により地面が敗れ、床ごと抉って脱出に成功した。
「《パペット》っ! 《支配》っ!」
《バインド》によって繋がっていた床を槍状に変形させ、操作ができるので確実に魔人の頭に向かって放つ。
「邪魔だっ!」
空中にいる俺に向かって跳んで、槍状の石レンガの床を強固な拳で粉砕する。
粉砕した石レンガが飛び散り、魔人の視界を塞ぐ。
今だ……!
「このまま、この足で蹴り殺してやるっ! 《空中進歩》」
空中に透明な板を出現させ、そこに足を溜めて魔人の所へ一気に跳ぶ。
その刹那、俺は魔人の頭部に回し蹴りを繰り出す。
この神速の一撃は回避不可能。
一瞬で魔人を壁のとこまで蹴り飛ばした。
MPを大幅に消費したので、残すために《身体強化》を解除すると同時に《アクセル》と《強風蹴》が切れた。
「今の攻撃で無事だったらやべぇぞ…」
俺は床に転がっている剣を拾う。
「プラム、大丈夫か?」
「も、もう大丈夫だ。 先ほど束縛から解けた」
「プラムさん、ユウスケ様、気を付けてくださ――」
言葉が途中で途切れた。
「「えっ?」」
アメリアは謎の攻撃により胸元を撃たれ、そのまま意識が遠のいていき倒れる。
「アメリアぁああーっ!!」
「……《暗黒弾》」
「……っ!?」
油断した隙に闇の弾に3発も撃ち抜かれた。
魔人はふらつきながらも右手を前に出して魔法を発動していた。
「ぐっ……。 《ヒール》!」
「……《暗黒弾》」
「 《土壁》」
俺はアメリアに回復魔法を掛けてる間に、魔人からの追撃がくるがプラムの魔法によって防ぐ。
「…助かる」
「《闇堕ち》」
プラムの目の前に黒より深い黒のような闇の球体が現れた。
「闇堕ちダークネスフォールだとっ…!? 《土壁》」
泥壁を生成するが、闇の球体に飲み込まれて消滅する。
プラムは逃げようとするが球から逃げきれない。
「危ない! 間に合えよ、《アクセル》、《強風蹴》」
何度目かの加速をして、剣を構える。
「プラム! しゃがめ!」
「《アクティブ》!」
闇の球体に向かって一振り。
魔法断切剣の能力、《アクティブ》で起動する一日一回のみ使える魔法無効化。
これにより、闇の球体を消滅する。
「ユウスケ……、大丈夫か?」
「何とかね、《ヒール》」
《暗黒弾》による傷跡を心配するプラムを安心させるために少ないMPで回復魔法を使う。
「もういい加減死んだらどうだ?」
「ほざけ。 俺は最後まで抵抗するぜ」
魔人の殺意がさらに増す。
「魔人の固有スキル《悪魔化》の第二段階、発動……」
「第二段階……だと…」
「知らないなら、冥土の土産に教えてやるよ」
まるでエイリアンのように体から魔人の腕が二本と尻尾を生やした。
「魔人というのは、元々モンスターの悪魔が進化し、人間と交わったことによって生まれた種族。
種族の固有スキルというのは段階を踏んで、進化過程を巻き戻し一時的に本来の力を取り戻す能力だ。 こんな風になぁ!」
4つになった腕で殴りかかってくる。
その攻撃をバックステップでギリギリに回避をする。
回避された攻撃は床にあたり、一発一発クレーターができる。
「素のパンチでこの威力は反則だろ!」
「お前が言うなっ!」
一発アウトはやべぇな。
「プラム、お前の魔力って後どのくらいだ?」
「もうないぞ……。 ユウスケは?」
「俺もだ、もうない」
「そうか……。 なら我の最大火力の魔法を放つからアメリアを連れて逃げろ」
「その魔法で魔力が尽きるのか?」
「大丈夫だ。 その魔法を放っても残るように調整する」
その時、プラムが死を覚悟をしたような感じを直感した。
「そうか……、消えるなよ」
「あぁ……」
「消えたら、お前の亡骸を探し回って自分の部屋に持ち帰って飾ってやるからな」
「それは気持ち悪いな!! 我は初めて引いたぞ」
「だったら、無茶しないでアメリアを連れていけ外で待機しな」
本当にいやだったのか、アメリアを宙に浮かしてこの地下から出ていこうとしたとき、
その瞬間を狙い魔人は殴るが俺が剣で阻止して殴る方向をズラす。
「……チッ」
「一撃が重いわ……、これ勝てんのか?」
「ならさっさと諦めたらどうだ?」
「ここで死んだら、俺の夢が叶えなくなるから無理だな」
「そうか」
「俺はもう残ってる魔力はない、だからこの一撃ケリを付けてやる」
「…やってみろよ」
……カズキ、お前の魔法を借りるぜ!
この地下室で発動すれば逃げ道はないはずだ。
「見せてやるよ……最強の魔法を!! ――《黒雲雷嵐》ぁああー!!!」
闇属性魔法と風属性魔法の複合技。
禍々しく黒く染まった巨大な竜巻を放つ。
「……最後に相応しい魔法だな。 受けて立ってやるよ――《闇堕ち》!」
闇の竜巻と闇の球体がぶつかる。
竜巻を飲み込もうとするが、竜巻の破壊力の前には無意味だった。
圧倒的な力により《闇堕ち》は無残に打ち消した。
「……っ!? そんな馬鹿な……。 クソッ!《対魔盾》」
そして、魔人は竜巻に飲み込まれた。
最後の足掻きで防御魔法を唱えるが、くらったあとはまるで息してないように横たわっていた。
つまり、瀕死。
止めを刺そうと俺は魔人に近づき、剣で斬り下ろそうとすると黒い霧のようなものが、魔人を包み込む。
「何だこれは!?」
剣で霧を刺そうが、見えない壁があるかのように弾かれた。
「やっと会えた……。 私の雄介♪」
その声は、久々に聞いた声だった。




