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リル VS カズキ

 カズキから放たれる魔力は鳥は飛び去り、動物達が怯えたように逃げ出していく。狼の血を引く獣人族であるリルでさえ鳥肌が立っている。


 「私が、怯えてる……? ……そんなはずはないっ!」


 この恐怖を認めたくないために自分に言い聞かせる。


 「やっと俺の威嚇が効いてきたようだね……」

 「そのセリフ……、傍から聞いたら危ないセリフだよ……」

 「ぐっ……」


 私は木影からツッコミをする。

 その時はちゃんと居場所を探れないように配慮をする。

 そして、カズキが自分で発言したことが何の意味を持つか理解したのか、少し堪える。

 

 「まぁ……いい……。 君ほどではないけど、こっちも速さに自信があるんだよ。 ――《強風蹴ゲイルスプリング》」


 カズキは風を纏わせた足で地面を蹴って飛ぶ。

 行先はリルと同じように木に行く。

 リルも透かさずにほかの木に飛び移る。

 そうやって、片手に水風船を持って追いかけっこが始まった。




 ◇



 

 追いかけっこが始まって数分。

 未だに水風船は投げ合っていない。

 カズキは闇属性魔法と風属性魔法を駆使して攻撃を仕掛ける。

 それに対抗すべく、スキルレベルの低い土属性魔法で壁を造ったり、木を操り幹で邪魔をさせたりした。

 何度か土属性魔法を使ったことにより、今日で凄く上達した感覚を実感した。


 「《木で縛るもの(ウッドバインド)》!」


 私は飛び移る際、魔法を詠唱し右手で木に触れる。

 そして、次に飛び移った木にも触れる。

 これで少しの間この木は自由自在に操れる。


 《木で縛るもの(ウッドバインド)》。

 中級土属性魔法で植物に触れないと効果がない。

 だが、触れた植物は数十秒間、自由に操れることができる。



 「その攻撃は読んでいた! 《黒き翼(ブラックウィング)》」


 カズキは背に漆黒の羽を生やし、宙に飛ぶ。

 

 《黒き翼(ブラックウィング)》。

 この魔法はカズキが生み出したオリジナル魔法。

 闇属性魔法と風属性魔法を組み合わせた複合魔法で、使用魔力量は大きいものの宙に飛ぶことができる魔法だ。


 「速さには速さだ! ――《風槍ウィンドランス》!」


 幾つもの属性にある槍魔法の中で最速を誇る風が槍の形相されている攻撃を次々と詠唱していく。

 多少は威力を抑えられているが、一発一発がそれなりの威力があり一般男性並みの腕の太さぐらいの幹をことごとく風穴を空けていく。


 「自然破壊はよくないよっ! ――《泥矢クレイアロー》!」

 「君も魔法で地形を変えているじゃん!」


 私は、泥で出来た矢を翼を使って浮いているカズキに数本、放つ。

 だが矢は全て外れた。

 それは、カズキが自ら 《黒き翼(ブラックウィング)》を解き落下していったからだ。


 「少々使いすぎた様だ……」


 地面に降りると、魔力の使い過ぎで少し立ちくらみが起きる。

 今、木に隠れたってすぐに見つかるので時間稼ぎにならないので意味がない。

 その場で懐からMPポーションを取り出す。

 蓋を開けポーションを飲もうとすると、目の前にリルがいた。


 「ちょっ、ちょっと待って! い、今MPポーション飲むから待ってっ!」

 「魔力管理をしてない人が悪いんだよ?」


 と、リルは笑顔で近づいていく。


 「ポイッ♪」


 その手には水風船を持っていて、それをカズキに投げる。

 だが、それは地面に当たり水をぶちまける。

 どうやら、カズキの動体視力と運動神経で当たる寸前に体を逸らし避けたようだ。


 「あっぶねぇ……、危うくゲームオーバーだった……。 《身体強化》」


 カズキは身体強化した足で透かさず逃げる。

 さすがのリルも対応しきれなかった。

 

 「あっ……逃げられちゃった。 まさか、さっきのMP切れはブラフだった……?」


 私もまだまだだなぁ……。

 早く探さないとMPを回復してしまう。


 私は聞き耳を立てて、カズキが出している僅かな音を探す。

 そして数秒後、姿を捕らえる。

 

 「見つけた……っ!」


 私は隠れている彼の元へ駆け出す。

誤字・脱字あったらすみません。


感想、アドバイス、質問を待ってます。

悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)

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↓とあるVRMMOの廃課金ネカマプレイヤーが突如異世界転移して、異世界で自分のキャラを愛でる無双物語

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