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 早速、リルの姿を発見した。

 獣耳を立てて、嗅覚で探ってるようだ。

 俺は木影に潜み、様子を伺う。


 「さすがは、獣人族の中で狩りが得意な狼族……、非常に厄介だな。 だが、幸いなことにリルが得意な水属性魔法はこのゲームでは使えない」


 リルとの長期戦となると、素早さはリルより劣るので接近戦では負ける。

 しかも、人間より五感が優れているため不意打ちも失敗する可能性が高い。


 息を殺しながら、ゲームプランを考える。


 「少しズルいがリルの弱点を突き、油断をしている隙に水風船をぶつけるしか勝機がなさそうだ」


 音を立てないように、小枝に気を付けて忍び足で行動する。

 リルとの距離が遠退いったのを感じ、 《格納》を使い虚空から香ばしい鳥の骨付き肉を載せた皿を取り出し、地面に置く。

 リルの嗅覚なら、この距離なら直にこの香ばしい匂いを察知することだろう。

 

 「……《リフラクション》」


 久々のこの魔法。

 光属性魔法で使い勝手が良い認識阻害。

 リルなら直にバレると思うが、少しでも隙を作れればそれでいい。


 俺が肉を取り出した瞬間に、リルの可愛らしい耳と鼻がピクピクと動き、香ばしい匂いに反応した。

 リルがお肉に釣られた。

 すぐに上手く草木の陰に隠れ、リルが罠に掛かるのを待つ。


 「こっちから美味しそうなお肉の匂いがする……。 ん?この匂い……、よくご主人様が買ってくれるお肉にそっくりだ!」


 リルは迷いなく焼肉の方に近づく。


 こんな幼稚な罠でもお肉に関しては簡単に釣れるとなると、知らない人間にまで餌付けされてしまう。

 このゲームが終わったら躾けないと……。

 

 と、俺は考え事をしていたらいつの間にかリルがお肉を手に取りかじり付いていた。

 尻尾が左右に勢いよく振っていて、美味しそうに食っている。

 肉に夢中なリルをずっと見てみたい気持ちはあるが、そこは我慢し虚空から水風船を取り出す。

 狙いをさざめようとリルの正面に移動する。

 的(紙エプロン)を見つけたが、腕とお肉によって範囲がせばまれている。


 「ぐぬぬ……、狙いにくい……」


 だが、このチャンスを逃すわけにはいかない!


 考えている間に腕が勝手に動きリルに目掛けて投げる。

 水風船がリルに当たる直前、突如土の壁が出現し防がれる。


 「っ!?」


 土属性魔法 《土壁クレイウォール》。

 初級で覚えられる脆い防御魔法。


 えっ? 何で土属性魔法が発動したんだ?

 たしかに、俺は土属性魔法を使えるし、周囲には人がいないはずだ。

 だとしたら、消去法でリルしかいない。


 リルって土属性魔法覚えていたんだ……。 ※『獣人族の少女の名は……。』でステータス載ってます。


 俺は拳で土壁を殴り粉砕する。

 だが、リルの姿が見当たらない。


 「そりゃそうだろうな……」


 こんな状況で壁がなくなるまで律儀に待つヤツがいるはずがない。

 

 ならどこに消えた?

 

 俺は焦りを生みつつ、警戒しつつ周囲を見渡す。

 まだ俺の的(紙エプロン)は濡れていないし、認識阻害の魔法はまだ発動している。

 だが俺の気配に気が付いているとすると、どこかの物陰で狙いを定めているはずだ。


 命令権を手に入るためには、ここで負けてはいられない!

 何としても、あの変態の手に渡らないように俺が優勝しないと……!


 すると、茂みから音がした。


 「リルかっ!」


 周囲に潜んでいるかもしれないリルに聞こえないように呟く。

 音がした方に振り向くと、また別の方から音が聞こえた。

 丁度、さきほど音がした所の反対側だ。

 それは、水風船を持ったリルが飛び出した音だった。


 「ちっ!今のは罠だったのか!?」


 俺が振り向くよりも、リルの接近のほうが速かった。


 「もらったぁー!」


 リルの可愛い声が叫ぶ。


 「仕返しだ! ――《パペット》!」

 「ふにゃっ!?」


 俺は土を触手のように自由に操作し、接近してきたリルの足に絡みつかせて動きを封じる。


 何今の声、可愛い……。

 もしこの場にスマホが合ったら録音して、ループ状態にして再生するとこだったわ。


 急に動き封じられたことにより、その反動で地面に転ぶ。

 リルが持っていた水風船が割れていて、周囲が湿っていた。


 「さすがご主人様……、隙が見当たらない……」

 「ありがとう。 それでリル? いつから気づいていた?」

 「最初から」

 「最初から?」

 「うん。 なんか急にご主人様の匂いがしたから、もしかしてと思って」

 「リルの嗅覚はイカサマだろ……。 それで、最初から罠だと分かっていて態と引っかかり、罠に掛かっているリルに油断している俺の隙を狙っていたということか」


 リルは小さく頷く。


 「さてっと、もうリルは退場だな。 最後に残したい言葉はあるか?」


 俺はさっき虚空から取り出した水風船を片手で持ちリルに近づく。


 「……ご主人様は、もう終わり」

 「えっ」


 ――この言葉を理解したのは、転移された後だった。


 

誤字・脱字あったらすみません。


感想、アドバイス、質問を待ってます。

悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)

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↓とあるVRMMOの廃課金ネカマプレイヤーが突如異世界転移して、異世界で自分のキャラを愛でる無双物語

ネカマおじさん、異世界TSする。 ~異世界で無双したい!~

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抹茶プリン@kurogane_31

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