VS 峡谷竜 前編
それから、峡谷竜の攻撃が続いてきた。
土属性魔法 《投石》により、無数の礫が俺たちに目掛けて放ってくる。
「二人とも下がってろ! 《火壁》」
俺の目の前に火を壁のように展開させ、その壁に接触した小石が次々と溶けていく。
峡谷竜の魔法攻撃を防ぎ終えた瞬間、その火の壁がまだ展開しているのも構わらずに尻尾で薙ぎ払う。
俺達は火の壁のせいで視界を妨げられ、峡谷竜の攻撃に反応するのが遅くなり、俺は打撃をもろに食らってしまう。
その威力を例えるのならば、鉄球をつけたクレーン車がビルを崩壊させるような様だった。
幸いにもアルとカナリアは俺の後ろ下がっていたので、ダメージを抑えられた。
「っ!? えっ、ちょっまっ‥‥‥――ぐはっ!」
「――《フィジカルシールド》、くっ‥‥」
「きゃっ‥‥!」
ダメージは抑えられたといっても、俺と共に飛ばされ岩壁に衝突する。
その時。俺は少しだけ吐血してしまった。
不覚だった。まさか、石を溶かすほどの火の壁を無視して攻撃してくるとは‥‥。
「いってぇー‥‥。ごほぉっ。 カナリアぁ、回復魔法よろしく」
「わたしもよろしく」
「う、うん‥‥《治癒》」
カナリアが詠唱すると、光が俺達の体を包み込む。
すると、傷口や折れた肋骨が治癒していく。
「あの竜‥‥攻撃力が半端ねぇ‥‥」
「ですね‥‥、しかも魔法も撃ってくる‥‥。リーダーどうする?」
「どうするって、攻撃するしかないだろ。 燃やし尽くせ!《焼却》!」
峡谷竜に火を付けるそこからどんどんと炎が広がり、燃え盛る。
だが、峡谷竜は燃やされながらも尻尾を振り回しながら攻撃をしてくる。
「尻尾が岩壁に当たれば、岩が崩れてくる‥‥なら‥‥、アル!」
「まかせて‥‥《バインド》」
暴れている尻尾をバインドによって縛り付けられ、動きを封じさせた。
四足で踠いているが、バインドの紐が外れない。
すると、峡谷竜は俺たちの方に向くと口を開き、魔力が口の方に集まり光輝く。
「おっと、これは危ないな、アル」
「分かってる。《バインド》」
バインドで開いている口を無理やり縛り閉じらせた。
物理攻撃手段を封じたからといってまだ、あの竜は魔法による攻撃手段が残っている。
「動きを封じている今、畳みかけるぞ、カナリア!」
「うん、まかせて! 《輝きの光線》」
魔法を詠唱し終わると、カナリアの杖の先端に魔力を溜め、黄白く光が放つ光線が一気に放出した。
その光線は、放出先にあった岩が一瞬で砕かれ、威力が落ちないほどの勢い。
そして、峡谷竜の頭部に直撃する。
峡谷竜は口を閉じながら悲鳴なのか怒りで咆哮をしたのか分からない声が発する。
俺はカナリアが攻撃している間、気づかれずに素早く峡谷竜の背に乗った。
「溶けろ!《溶岩拳》」
俺の腕が溶岩の腕へと変化する。
その腕から伝わる熱は、詠唱者には伝わらない。
溶岩が垂れ落ちると、垂れた先の峡谷竜の外装が少し溶ける。
「これならいける! くっらぇー!」
だが、甘かった。
虚空から魔法陣がゼロ距離に出現する。
そこから、岩の槍が飛んでくる。
『大地の槍』っ!?
上級の地属性魔法で岩の槍の上位互換の魔法。
貫通力が高く、槍系の魔法の中で一番威力の高い魔法。
余程、防御面に自信がなければ手足が持っていかれるだろう。
この距離から避けれるか?
否、無理だ。
まだ、《溶岩拳》は解除してない。
なら腕を持っていかれる覚悟で迎え撃つしかない!
槍が当たる前に手を前に出す。
すると、槍が俺の溶岩の手に突っ込み、槍が溶岩に飲み込まれた。
「助かった‥‥」
「まだ、あるよ!」
「えっ!?」
「後ろ‥‥!」
アルの忠告通りに振り向くと、魔法陣が出現していた。
「んなっ!? ――《炎の壁》」
目の前に炎の壁を展開する。
魔法陣から出てきた槍を防ごうとするが、簡単に貫通される。
俺は咄嗟にサイドステップで、間一髪逃れたが、避けた先にアルがいた。
「アルっ!」
アルに向かって飛んでくる槍はどんどんと加速していく。
「――《フィジカルシールド》!」
アルはバリアを展開し槍を何とか防ぐ。
だが、魔力を大幅に消費したせいでバインドを維持する魔力が枯渇してしまい、峡谷竜がバインドから解放される。
誤字・脱字あったらすみません。
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悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)
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