炎帝
俺たちは、リルの実力を見るため『 オーク五体討伐 』というクエストを受け、オークが生息しているというヒィーブグラス行き、さっきクエストを済ませたところだ。
そして、今その帰りだ。
馬車の中はとても退屈なので、皆で言葉遊びなどをして暇をつぶしていた。
何分経ったのだろうか。馬車の中で話をしていると、どこからか戦闘音らしき音が聞こえてきた。それと同時に空が一瞬、光った。
「今の何でしょうか?」
と、アメリアが聞いてきた。
「さぁ?」
「そこまで遠くないと思うから急いだほうがいいんじゃない?」
「何でそこまで急ぐのか?」
「何か嫌な気配がする……」
神様は何か警戒しているように見える。
これはちょっとやばいかも。
「アメリア……頼む!」
「了解しました!」
アメリアは、手綱を『ビシッ』と馬に叩き、速度を速める。
◇
俺は、カーマイン。S級冒険者『クレナイ』のリーダーで、王国最強と言われる四帝の一人『炎帝』でもある。
俺たちが泊っている宿に冒険者ギルドの役員が来て、指名依頼をされた。依頼先は、現国王陛下だ。依頼内容は、黒い魔物が出現したので殲滅してほしいとのことだ。出現した場所は、王都外らしい。俺たちの前に、何組かの冒険者パーティーが行ったが全滅したそうだ。そこで、俺たちに目を付けてきたようだ。現国王陛下からの指名依頼なので受けなければならない。
「また黒い魔物か……」
「カーくん、どうする?」
「受けるしかないでしょ」
アルはめんどくさそうに言う。
俺たちは、すぐさま準備をし、黒い魔物が出現した場所に向かった。
王都を出て約2時間ほど歩いたところに黒い魔物の大群が見えた。
黒い魔物は王都に向かっているようだった。前に国王が情報を教えてくれたことがあった。それは、黒い魔物が王都に向かって進行していた、という情報を思い出した。
「これは、早く殲滅しないとやばいかもな」
「まさか、この数を相手をするの?」
カナリアは心配そうに俺に問いかけてきた。
「しょうがないだろ……。もう俺たちぐらいしか対応ができないからね」
「たしか前、黒い魔物の大群を一組の冒険者パーティーが滅ぼしたって言ってた」
「他の冒険者パーティーが全滅させたという、黒い魔物を?」
「そうらしい」
アルが衝撃的なことを言い出した。
「それじゃあ、そいつらが来てくれることを祈って戦うか」
「それって、負ける前提?」
「カーくんは強いから、負けることはないよ!」
俺たちは、戦闘準備をして黒い魔物の方へ走り出した。
「先手必勝《闇堕ち》」
アルは、黒い魔物の大群に向かって魔法を放った。
黒い魔物がいる真上に黒い点が出現した。その点は、黒い魔物たちにゆっくりと落下した。地面に落ちた途端、半径1kmほどの黒いドーム状の円が表れた。
黒い円が消えた後、円の中にいた黒い魔物たちはどこかへと消滅した。
「いつ見てもすげーな」
「さすが、アーちゃん!」
黒い魔物の軍勢は、これで半分ほど削った。だが、黒い魔物たちはこっちに気づき襲い掛かってきた。
どうやらあの軍勢の先頭にいるほかのやつより一回り大きいやつが指揮をとっているようだ。
「俺は指揮をしているやつを狙うから、カナリアとアルは雑魚をよろしく」
「分かったよ!」
「はいな」
俺たちは、それぞれの目的のために別々に分かれた。
◇
俺は真っ先にあのリーダーらしき魔物のとこへ向かった。
「くらえ!《火弾》」
俺は、指で銃の形をして指先に炎の玉を一つ生成し、標的に向かって放った。
だが、標的は当たる寸前、見えない壁に当たり消滅した。
俺たちが街の中で倒した黒い魔物より比べ物にならないほどに強くなっている。
「っ!?」
まさか、あいつ……。俺の魔法を魔法で防いだのか!?
「これならどうだ!《炎柱》!」
標的を中心に炎の渦が地上から空に向かって放った。
この魔法を耐えたものは、そうはいないっ!!!!
『炎柱』という魔法は、火属性魔法の高レベルの者しか使えない魔法だ。殲滅能力はない、単騎特化型なのだ。威力は人を灰すら残さないほどの威力だ。
だが、標的は炎の渦から出てきた。
「なっ!?」
少し焦げていたので、無傷ではないようだ。さすがに、無傷だったら俺でも敵わないレベルだ。
標的は、腕を前に出して俺の方に向けてきた。
「……《死の境目》」
標的から出る薄紫色のした線が一直線上に伸びて、俺の方へ向かってきた。
俺は、その線を見て瞬時に『死』という文字が頭に浮かび上がり、頭に警報のような音が鳴り響く。
ヤバイと思った瞬間、体が自然とその線から避けた。
その線が通った地面は、真っ二つに割れていた。もし、これをくらっていたら死んでた。
おいおい何だよ、あいつ!防御力は高いわ、即死攻撃はしてくるわ。ほかのやつより桁違いに強いじゃねぇか。
これは、俺が手に負えるやつじゃない……。ほかの四帝と一緒に戦わないと無理だ。
「なんだよ……、この無理ゲー……」
俺は、体中から力が抜けていくのを感じ、地面に座り込んだ。こんなこと、今までになかった。俺は初めて『死』というもの実感した。
「これが、戦意喪失かー……」
カナリアとアルのほうを見ると、黒い魔物の対処に手こずっているようだ。
標的は、俺の方へゆっくりと歩いている。その表情は、笑っているように見える。
「何が四帝の一人『炎帝』だ……。俺もまだまだのようだったな」
標的は、俺の近くまでに来ていた。
俺を確実に殺すため、標的は俺の頭を掴もうとした。
「あー。俺は殺されるんだな」
俺は、生を諦め、死を覚悟した。
その時……。
「間に合え!《減速》っ!」
という、男の声が聞こえた。
誤字・脱字あったらすみません。
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悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)
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