リルの実力
俺たちは、クエスト『 オーク五体討伐 』を受け、受付嬢にオークが生息すると言われている『ヒィーブグラス』を教えてもらい、ヒィーブグラスに向かっているところだ。
ヒィーブグラスは、王都から西側を歩いて3時間のところにあると教えてもらった。
前回、受付嬢に馬車を勧められたので今回は、馬車を乗ってみることにした。御者をしているのは、アメリアだ。アメリア曰く、「馬にも乗れないようじゃ、貴族として恥ずかしい」ということで御者ができるほどに馬を操れるようになったらしい。
「今回は、グリフォンに乗らなくて良かったです」
「まぁ、今回はすぐ近くだしね。それにグリフォンの定員が超えちゃうからね‥‥」
「ということはもうグリフォンに乗れない、ということですね!」
「嬉しそうに言うなー」
「だってだって、あんな怖い思いしたく‥‥ないですよ‥‥」
うわー、まじでトラウマになってるじゃん‥‥。
「大丈夫だよ?今度はグリフォンを二体召喚するから♪」
神様は、アメリアに追い打ちをかけて、ルナとアメリアは顔が真っ青に変わった。リルは、ルナとアメリアを見て不思議そうに首を傾げた。
「こらこらエシュテル。あまり二人で遊ぶな。俺も遊びたいんだから」
「えへへー♪ごめんねー♪」
「じょ、冗談、なんですか‥‥?」
ルナは、恐る恐る神様に聞いてきた。
「うん、そだよー♪」
神様は、軽く返事をし、二人共はほっと息を吐き出した。
そんな他愛のない話をしていたら、俺たちが馬車で走っている道から草原が見えた。
「ヒィーブグラスって言うのだから、やっぱ草原だよな」
と俺は、ふと疑問に思ってたことを言った。
「ということは、ここですかね?」
アメリアもヒィーブグラスのことは知らないようだ。
「ご主人様!あれを見てください!」
さっきから無言であったリルが、急に指を指してきた。その方向を見ると、人間が五人と人間よりも大きい魔物が一体と戦闘をしているような光景が見えた。
それを眺めていると、人間側が魔法らしきものを撃っているので、あれは間違いなく戦闘だろう。
「ここが間違いなくヒューブグラスだな」
「ですね‥‥」
と、アメリアも返してきた。
「あのー‥‥、ユウスケさん。あの人たちを助けなくてもいいのですか?」
「あの人たちのお仕事を邪魔しちゃダメだよ、ルナちゃん」
俺の代わりに答えた神様がルナの質問に対して言った。
「そうだなー。助けたところで、あとで文句を言われそうな気がするし。 「後もう少しで俺たちで倒せたんだ!横取りするな」ってね」
「あー。そういうこと言うやつって結構いるもんねー」
神様が納得し、ほかの三人も納得したのか無言になってしまった。
まぁ、反論はなかったということは俺の意見に賛成なんだろうか。
俺たちは、馬車を止め馬たちを安全なところに休ませた。さすがに無人になるのが怖いので留守番を誰かにしようと提案した。
すると、アメリアが挙手をしここで留守番するといった。そして、「アメリアちゃんだけじゃ、寂しいと思うから私もお留守番します」とルナは言った。
ということで、今回は俺、神様、リルの三人でオーク狩りをすることになった。
◇
「お肉♪お肉♪‥‥」
リルは、尻尾を左右に振りながら上機嫌に歌いながら草原の中を歩いている。
俺は、心の中で「可愛いなー」と思っていると、神様はジト目で俺を見つめていた。
「どうかしたのか、神様?」
「いやー、別に。 このままいくと、通報されるかもねー」
「どこにっ!?」
「警察? 「ここに不審者がいます」って、私が通報しちゃうかもよ」
「この世界に警察なんていないだろ」
「それじゃあ、魔法で警察官を召喚しようか?」
「警察官が迷惑するぞ!」
「大丈夫だよ♪すぐに還すから」
「俺を捕まえるために態々召喚するのか?」
「うん♪」
「おい」
この会話が終わると神様は頬を膨らませ、少し不機嫌になっていることに気づいた。俺は、不機嫌になっている神様の頭に手を乗せ、撫でてみた。すると、表情が明るくなり少し機嫌がよくなっていった。
俺と神様が戯れていると、リルは足を止めて耳をピクピクと動かしていた。
「何か‥‥来る‥‥っ!?」
この草原の先には林が見え、リルは林の先を睨みつけていた。そして、リルは腰を少し落とし、前かがみになって戦闘準備をしていた。
すると、林から体長3mほどのオークが三体が現れた。あいつらも、俺たちを狙ってきたのか。
「さすがは、獣人族。魔物の気配をすぐに察知できるんだね」
「えっ?ということは、神様も気づいてたのか?」
「うん、最初からね」
「まじチーターだな」
「神様だからね♪」
俺は、呆れたように笑った。
「リル、戦闘を任せるよ」
「はい、ご主人様。お肉を狩って、あとで食べさせてください」
「おう」
リルは安心したのか、目を瞑りながら集中しだした。
「全てを切り裂け‥‥《氷爪》っ!」
リルは魔法を唱えると、リルの体中に冷気をまとい、手の方に冷気を集中させ両手に三本の氷でできた爪を生成した。
「これがリルの魔法‥‥。《鑑定》」
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魔法 《氷爪》
・水属性オリジナル魔法
・使用魔力 500
・爪に貫通能力を付与し、STRを1.2倍に上昇する。
・冷気で氷の爪を両手に生成する魔法
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「ご主人様、この魔法は我が一族に伝わる魔法です」
リルはそう答えた。
「では、行きます!」
リルは、オークの方に向かって走り出した。さすがは、獣人族。その速さは疾風のようだ。
すぐに一体目のオークのところまで着た。オークは、リルの速度に対応ができなく、あっと言う間にオークの腹を切り裂いた。
つかさず、近くにいたオークのとこに向かい、そのオークも驚いたのか、やはり対応ができなくリルによって切り裂かれた。
もう一体のほうは、リルの方に向かい、持っているこん棒で殴りつけようとした。
だが、リルは瞬時に理解し右のほうの爪でこん棒を切り、左のほうの爪でオークを横から切り裂いた。
リルは、あっと言う間に三体を殺した。そして、リルは林の方へ走り出した。
「おいっ!」
俺の声を聞かず、林の中へと行った。
「全く、しょうがないやつめ‥‥」
「リルちゃんすごかったねー♪」
「だな、接近戦なら俺よりも強いんじゃない?」
「たぶん、リルちゃんの方が強いと思うよ♪」
俺は、神様と会話をしながら《格納》を使いオークの死体を回収した。
リルが倒したのは、ヒューブオークという名のオークだった。それは、リルが倒したオークの死体から《鑑定》して分かった名だ。
回収し終わると、リルは林から出て俺たちの方に歩いてきた。リルの両手には爪で切り裂かれたオークの死体を引きずっていた。
「お肉‥‥持ってきた」
と、リルは頬に付いていた血を一舐めし俺に向かって言ってきた。つかさず、俺はリルの頭を撫でて「えらいぞー」と褒めた。
「これで‥‥お肉を食べていい?」
「ああ。王都に帰ったら食べような」
リルは、返事の代わりに笑顔で首を縦に振った。
俺は、リルが持ってきたオーク二体の死体を《格納》にしまった。
「それじゃあ、帰るか」
「はーい♪」
「分かりました」
俺たちは、ルナとアメリアが待つ馬車へと向かった
◇
止まっている馬車のとこまで着いた。
すると、ルナとアメリアは俺の元へと歩み寄ってきた。
「どうでしたか?」
と、ルナが質問してきた。
「ああ。リルの実力は想像以上にすごかったぞ」
「そうなんですか!?」
「一瞬でオークたちを殺したもん♪」
「すごいですねー‥‥」
リルは。『うんうん』と首を縦に振っていた。
俺たちは、馬車に乗った。
「それじゃあ、帰るか」
「「「おー♪」」」
「お肉♪お肉♪‥‥」
帰りもアメリアが御者をし、王都まで向かった。
誤字・脱字あったらすみません。
感想、アドバイス、質問を待ってます。
悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)
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