獣人族の少女の名は……。
俺は、奴隷商で買った獣人族の奴隷少女を今泊っている宿の自室に連れて行ったところだ。
獣人族の少女は、この世の終わりかと思うよな絶望した表情をしていた。
どうしようこの空気、何とかしないと……。
とりあえず、話かけてみるか。
「あのー、君の名前は何て言うの?」
こうして、やさしく言えば答えてくるだろう。
「……」
ん?あれ、おかしいな……。
もう一度試してみるか。
「君の名前は何て言うの?」
「…………」
これは、もう無理だな。
しゃーない。『鑑定』を使うか。
「《鑑定》」
俺は、獣人族の少女を見つめて『鑑定』を放った。
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名前: Lv 46
種族: 狼族獣人
HP 4240/4240
MP 1480/1480
STR 3320
VIT 560
INT 790
MEN 560
AGI 2860
TEC 790
LUK 230
<スキル>
《水属性魔法 Lv:5》《土属性魔法 Lv:2》《拳闘術 Lv:3》
<固有スキル>
《獣化 Lv:-》
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名前のとこが空白になっている。もしかして、この子……、名前がないのか……?
それにしても、ステータスがかなり高いな……。特に、STRとAGIがかなり高い。あのおじさんが言っていたように接近戦特化型だな。まぁそれに引き換え、魔法面は低いけど。
でも、かなり優秀な能力値だ。スキルレベルも高い。これは、即戦力だな。
そして、一番気になるのが固有スキルだ。
獣化ってどんな能力なんだ?『鑑定』するか。
「《鑑定》」
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固有スキル 《獣化》
・獣人族の中でも一部の者にしか使えない。
・10時間に一度だけしか使えない。
・使用すると、10分間だけ全能力を2倍上昇する。HPとMPは含まない。
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何このチートスキル……。
俺たちのパーティーで接近戦ができたのは俺だけだったから、接近戦ができるこの子はすごく貴重な存在だ。
買ってよかった、よかった。
だが、まずは仲良くならないとな。
もう一回聞いてみるか。
「名前は何て言うの?」
「…………しつこい」
初めてこの子が口を開いた言葉はこれだった。
小声だったけど聞こえた。
「…………ない」
「えっ?」
「…………名前がない。だから、…………名前をつけて! 主なら…………名前、つけなさいよ!」
「何で名前がないんだ?」
「私は、生まれてきてから奴隷商のほうにいたの。両親も奴隷だったし、名前はつけてもらえず、私は狼族の獣人だから暴れることが多くて、売れなくていろんな奴隷商から転々と移動されてきて、ここに来たから……。だから…………まだ、名前が……ない」
「それでか……。ああ、わかったよ」
名前か…………。どうしよう。
俺、ネーミングセンスなんてないからな、マジで。
狼か……。狼といったら、フェンリルだよな。
フェンリル……、フェンリル……。
そうだ!
「リルって言うのはどう?」
「リル……ですか。いいですね、気に入りました。では、今日から私はリルです。よろしく……お願いします。ご、ご主人様‥‥」
「ご、ご主人様っ!? も、もう一回、言ってみて!」
ご主人様だって! この響き、いい!
俺は、リルに近づいて言った。
「…………えっ、…………キモイ」
リルは、まるで目の前にゴミがあるかのように見つめて、俺に引き気味で言った。
「ぐはぁ……っ!?」
俺は、ショックのあまりに両手両足を床についてしまった。
そして、俺の心にクリティカルヒットした‥‥。
「ま、まぁ、リル。これからはよろしくな」
「はい。私は、ご主人様の奴隷ですので拒否権はないです」
まだ、心は開いてくれなさそうだな。
◇
「そうだ、リル。今から、街に行かないか?」
「ご主人様の命令なら」
「そうか。んじゃ行くか」
俺とリルは、宿の個室から出て、街に向かった。
「ここが、王都の街か、初めて来たな。しかも、女の子と一緒になんて」
「…………」
「なぁ、まずは飯を食わないか」
「…………」
俺は、すぐに近くにある露店に行き、肉の串焼きを四本買った。
そして、リルのそばに行って肉の串焼きを渡した。
リルは、串焼きを手に取って、ぱくぱくと勢いよく平らげた。
そして、リルは串焼きを三本食った。
リルが食っている最中、耳がぴこぴこと動き、尻尾を左右に振っていた。
「眼福、眼福」
っと、俺はそれだけ言う。
「リル、口元にソースがついているぞ」
俺は『格納』を使い、ハンカチを取り出した。
「ん…………」
俺は、ハンカチでリルの口元を拭いてやった。
「あ、ありがとうございます…………」
「飯も食ったことだし、次は服だな」
さすがにボロい服だと可哀想だから、服を何とかしないとな。
可愛い服を着させないと‥‥。
俺とリルは、服屋に行った。
中に入ってみると、女性客で賑わっていた。
その中にある、リルに似合いそうな服を選び、リルに試着室へ行かせた。
リルが着たのは、白に近い灰色のパーカーでフードで獣耳を隠している。下は、薄茶色のショートパンツ。
「すごく似合っている……」
つい、本音が出てしまった……。
「…………」
リルは、下を向いたが少し顔が赤面になっていた。
だが、尻尾は左右に振っていた。
やべぇ……。めっちゃ可愛いんだけど。キュン死しそう……。
俺は、店員をすぐに呼び出し、リルが着ている服を買った。
誤字・脱字あったらすみません。
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悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)
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