帰り道で……
やっと、ユウスケ視点になります。
俺たちと神様たちが合流した。
「エシュテルたちはどうだった?」
俺は、まずは神様のほうを見てみる。
「卵はなかったよ♪」
その次に、アメリアの方を向いた。
「はい。 エシュテルさんが魔法で探索しましたから」
「お兄さんのほうはどうだったの?」
「こっちもだ」
俺は、目を瞑りながら首を横に振って返事をした。
「あとは、ギルドに行って報告するだけかな?」
「そうですね」
「んじゃ、帰るか」
「また、グリフォンに乗って帰る?」
神様がそういうと、ルナとアメリアは首を激しく横に振った。
そういえば、ルナとアメリアは絶叫していたなー……。だって、時速800以上も出ていたから、そりゃトラウマにもなるよ。
「エシュテル、ほかに乗れるやつとかいるのか?」
「う~ん。 私の中でグリフォンが一番乗りやすいからなー。 私がほかに飼っているのは、グリフォン以上だよ?」
「「「……えっ?」」」
「それじゃあ、徒歩しかないよな……。 はぁ……」
「ごめんなさい……。ユウスケさん 私たちが乗れないせいで……」
「気にするな……。俺たちは仲間だ。いやならいやっていえばいいさ。 ……まぁ、実際俺もあまり乗りたくなかったし」
「そうですか……」
っと、隣にいたルナが言った。
「じゃあ、王都に戻るか」
「「「おー!」」」
◇
今俺たちは王都に戻るため、最短ルートである草原を通ていた。
道がない草原。周りには花が咲いているだけでほかは何もない。ずっと歩いていたら、方向感覚が狂いそうな景色だ。
だが、俺たちには神様がいる。神様さえいれば迷わないのだ。たぶん‥‥。
「なぁエシュテル。本当にこっちの方向で合っているのか?」
「うん。そだよー」
なんか適当な返事だな……。
「適当じゃないよ?ちゃんと確認しているもん」
「確認って?」
「魔法の『ソナー』で確認しているだけだよ」
「その『ソナー』という魔法は何だ?」
「魚群探知機みたいな魔法だよ。『サーチ』みたいに詳しく探索はできないけど‥‥」
「何ですか。その『ぎょぐんたんちき』って?」
ふと、左隣にいたルナが質問してきた。
「えっと……そ、そう! マジックアイテムだよ!」
ルナは、何か納得したような顔をして前を向いた。
マジックアイテムって言葉は便利だなー。
「あのー?ユウスケ様。 前のほうに何か見えません?」
すると、アメリアは指を指して言ってきた。
目を凝らしてみると、複数体の黒い物体が動いているように見える。
「何だ……あれ?」
「何か……いるね……、お兄さん。 あれは、ちょっと危ない匂いがするなー……」
俺の右隣にいた神様があの黒い物体を睨みつけるように言った。
「エシュテルは、あれが何かわかるのか?」
「ううん。でも、これだけは分かるよ。あれは……紛い物の魔物だね。
お兄さん、あれを早く何とかしたほうがいいよ。あれ、王都の方に向かってるよ」
「んじゃ、殲滅するか。数はこっからだとよくわからないけど」
すると、ルナは手を上げた。
「ユウスケさん、待ってください。 ここは、私にやらせてくれませんか?」
「私もです!ユウスケ様」
「あぁ、いいぞ」
「これでやっと、修行の成果が見れます!」
ルナは、小さくガッツポーズをした。
「ルナさん、がんばりましょうね!」
「はいっ!」
◇
肉眼ではっきりと黒い物体が見える距離まで来た。
黒い物体は人型の形をしていた。
黒い物体の数は、ざっと80体ぐらいいる。 まだ、俺たちのことを気づいていないようだ。
「なんか……ゾンビみたいな歩きかたしているなー」
「そうだね。なんかゾンビ映画に出てきそうだね♪」
「数多いですね……」
「ルナ、大丈夫か? 俺も手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です。私とアメリアさんで殲滅します!」
「そっか……。無茶はするなよ」
「「はいっ!」」
ルナとアメリアは、杖を取り出して戦闘態勢にはいった。
「では、いきます! 《フレイム・ランス》」
ルナが魔法を唱えた途端。ルナの周りに炎の槍を10個生成し、黒い物体に向かって放った。
黒い物体を一体ずつ的確に倒したが、数が多いためそこまで支障がないみたいだ。だが、今の攻撃で気が付いたのか黒い魔物は、俺たちに向かって走り出したのだ。
「次は私がやりますわ!《ホーリー・ランス》」
ルナが放った炎の槍と違って、アメリアは光の槍を10個生成して、黒い魔物に放った。
だが、黒い魔物はこっちの攻撃が来るのを分かっているのか。当たったのは3本だけだった。後は軽くかわしてきた。 黒い魔物は、攻撃を避けるだけの知能があったらしい。
「くっ……!?」
黒い魔物はどんどんと俺たちへと迫ってきた。
「ここはまかせて!」
「ルナさん……。すみません……」
「謝るなら、この戦いが終わってからにして! 《ブラスト》!」
ルナの手から小さな爆風を生成し、爆風を放出した。
さすがに、黒い魔物たちも風を避けることができず、吹き飛ばされた。
「これで少しは時間稼ぎをできたかな……。えへへ……」
「ありがとうございます、ルナさん。 ……《フラッシュ・ボム》!」
アメリアは長い詠唱を終え、杖から小さい光の玉を生成した。そして、黒い魔物の方に向かって放った。
速度は遅かったけど、黒い魔物に接触した途端、爆音と閃光が発生した。そう、まるでスタングレネードのようだった。だが、光を放出しただけではない。光に包み込まれた黒い魔物は、光が生み出した熱量によって一瞬で体が溶け、地面に落ちた。
俺は、咄嗟にみんなを囲い込むように《マジックシールド》を張った。
……えっ? 何この強い魔法。 あぶねぇ……、俺のマジックシールドを張ってなかった俺たちもあんなふうに、なっていたかもな。
魔法を放ったアメリアでさえ、驚いている様子だった。
「終わったのか……」
「そ、そうですね……」
そう返事をしたのは、アメリアだった。アメリアにも予期せぬことが起きたため、いかにも現実を見ていないような表情をしていた。
そういえば、アメリアが詠唱している間、神様がアメリアに何かの魔法をかけていたような……。
「えっとね。魔法の能力を大幅に上昇する魔法だよ♪」
「『フラッシュ・ボム』はね、ただの目くらましの魔法なんだよ。その光を生成するエネルギーを倍増しただけだよ♪」
っと、神様は俺の耳の近くに口をあてて言った。
おい、この威力は神様がやったのかよ。
すると、ニコっと神様は笑った。
誤字・脱字あったらすみません。
感想、アドバイス、質問を待ってます。
悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)
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