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今度は、森の中で少女と出会った。

ハンカチを用意してください。

――レッドローグ・グリズリーとの戦闘があった、五日後。


「はあはあ……」


 少女は、森の中で息を切らせ、涙を流しながら走っていた。

 

 「はあはあ……誰か……!」


 少女は、草や枝に切られていてもお構いなしに、必死で逃げていた。


 「ガウ、ガウ!」


 そう、少女は、狼型魔物もといジャンクウルフに追われていた。

 少女とジャンクウルフの差は、約40mぐらい離れていた。

 少女の足では、ジャンクウルフに簡単に追いつかれてしまう。

 

 「はあはあ…………たす…………うっ……」

 

 不覚にも、少女は木の根につまづき転んでしまった。すぐさま体勢を整えようと振り向いたとき

 ジャンクウルフは、もう目の前まで接近していた。


 「やだ…………、死にたくない…………っ」


 少女は、諦めたかのように目を瞑った。


 「ガウゥウウウウウウ!」


 ジャンクウルフは、少女に噛みつこうとした瞬間。


 「諦めるなぁああああ!《ブラスト》ぉおおおお!」


 少女は少年の言葉に反応し目を開けた。

 その瞬間。


 ――ドゴンッ!


 ジャンクウルフは茂みがあるほうに吹き飛ばされ絶命した。


 「…………えっ?」


 少女は目の前に起きたことが信じられなかった。さっきまで、魔物に必死に逃げていたのにその魔物が突如現れた少年に倒されてしまったのだ。


 「おーい、大丈夫かー?」


 「あぁ…………、はい」


 まだ少女は混乱していた。


 「立てるか?」


 少年は、少女に手を差し伸べた。


 「ありが……とう……ござい……ます……、ぐすん…………」


 少女は安心したのかさっきまで目に溜まっていた涙が流れ泣いてしまった。
























 俺は、13歳くらいであろうか、髪は桜色のショートボブで目は、まるで、宝石の『エメラルド』のような綺麗で透き通っているエメラルドグリーンの少女を魔物から助けた。


 「体、傷だらけだな……ちょっと、回復魔法を掛けるから、手を握るよ?」


 「あっ……はい。 お願いします……」


 俺は、少女の手を握った。少女の手は小さく柔らかった。ずっと握っていたいと少し思ってしまった。

 

 やべぇ……ちょっと本音が出てしまった。今はそれより回復魔法を掛けないと……。

 因みに、俺はロリコンではないからな。か、勘違いするなよっ!


 「あのぉ……」


 「あっ、ああ。 今掛けるよ。《ヒール》」


 少女の体は黄緑色に薄く発光した。

 俺は、少女の体に見える傷が消えるまで回復魔法を掛けた。


 「痛くなくなったか?」


 「はいっ! ありがとうございます!」


 少女は、俺に向けて眩しい笑顔をした。

 たぶんこの笑顔を向けられたら、昔の俺だったら危なかった。たぶん通報されそうなことしようとするだろうと思った。そのぐらいいい笑顔だった。

 でも、今の俺は違う。そう俺には、神様がいるのだから。


 そう思っていたら、少女が話しかけてきた。


 「あの! 私、ルーナ=サンチェスといいます。 魔物から助けていただきありがとうございます」


 そう言って、ペコッお辞儀した。

 

 「いえいえ。 俺は、タナカ ユウスケだ。 よろしくね、ルーナちゃん」


 「はいっ! あの、ルナでいいですよ。 みんなからそう呼ばれていますし」


 俺は、ルナを自己紹介しつつ、今俺が野営地してるとこに向かい歩き始めた。

 ルナは、それについてきた。


 「あの、ユウスケさん」


 「どうした、ルナ?」


 「ユウスケさんは、なんでこの森にいるのですか?」


 「えーっと……修行?」


 「えぇっ!? こんな危ない森にですかっ!?」


 「えっ……。 あ、うん」


 まぁ、たしかに危なかったな。


 「ユウスケさん!この森は熟練の冒険者さんが多数、行方不明になっているんですよ!?」


 「…………はっ?」


 えっ? この森ってそんなに危ないのかよ。

 この森は、初心者の冒険者がよく狩りをするところだって言ってたじゃん!

 ちょっ……神様、なに嘘ついてるんですか!


 「俺……よくここまで生きていたな……」


 「ほんとですよっ!?」


 「それで、ルナは?どうして、そんな危ないこの森にいたの?」

 

 「それは…………口減らしのため……です……」


 ルナは、下を向き、辛そうに言った。

 なって、もったいない!こんなかわいい美少女を口減らしのためにこの森に捨てるなんて!

 もったいないお●けが出るぞ!


 「それって、村の?」


 「はい……私の村は貧困で、食べ物が少なかったんです。しかも、雨が全然降らず、井戸が枯れそうになってしまい」


 「それで、食料が足りなくなって口減らしか……」


 「はい……特に私の家は、村の中で一番貧しかったので……」


 「けっこう危ない状態になったとき、幸いに奴隷商の人たちがやってきました。 私たちの村って子供が多くいたので、私たちと同じく貧しかった家の子たちは売られてしまいました」


 ルナは、今すぐにでも泣きそうな顔で語っていた。


 「しょうがないんです……生きるためなので……」


 「そっか……」


 俺は、そんな重い話を聞いてしまい、黙ってしまった。

 なんて健気なんだ……村のためとはいえ、奴隷にされてしまうなんて……。

 ん?奴隷?


 「ルナって奴隷なんだよな?じゃあ、なんでこの森にいるんだ?」


 「そう……ですよね……」


 「いや、辛いなら言わなくてもいいよ……」


 「私たちは、王都に向かってる最中に十数人の盗賊に襲われてしまいました……」


 これはテンプレだな……って、俺何考えてるの!?ごめんルナつい、盗賊という言葉が出てきて、テンプレな展開だと思ってしまい。俺って最低なクズやろうだな……。

 ルナが今すぐにでも泣きだしそうに語っているのに。


 「奴隷商の人々は、盗賊に殺され、護衛していた冒険者も殺されました。 そして、子供たちは、盗賊に捕まってしまいました。 私は、運よく逃げれましたけど。 二人の盗賊たちは、逃げた私に気づき追ってきました。 私は、盗賊から逃れるために、危ないと言われているこの森に逃げ込みました。 盗賊たちはこの森に入り私を捜索してました。 すると、盗賊たちはさきほど現れたジャンクウルフに襲われ殺されてしまいました。 私は、その隙に必死に逃げましたが、私の足音に気づいたジャンクウルフは今度は私が標的に移り、追われていました」


 「そういうことだったのか……なんか、ごめんね。 暗い話だと分かっていたけど、まさかこんな暗い話だったなんて」


 「いえ……辛いお話を聞いてくださりありがとうございます、私もちょっと軽くなりました」


 ルナは、そういってさっきとは別の笑顔を向けてきた。

 俺は、その笑顔を見て、拳を強く握ってしまった。


 



誤字、脱字あったらすみません。


小説を書いてる途中に感情移入してしまい涙が出ました(´;ω;`)

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↓とあるVRMMOの廃課金ネカマプレイヤーが突如異世界転移して、異世界で自分のキャラを愛でる無双物語

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