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リル VS 氷帝 part1

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リルの氷によって生成された爪と氷帝の氷によって生成された剣が衝突し合う。

砕かれては、魔法を使用して生成を繰り返す。


「……このままだと体力勝負になっちゃう」


「それはそれでありだな!」


「……脳筋」


「はっはっは。皆によく言われるぞ」


「……はぁ」


地面や壁を次々と蹴って、加速させ氷帝の隙を見て切り裂こうとするが、氷帝の剣さばきによって防がれる。


「むぅ。何をやっても攻撃が届かない……」


「貴様の攻撃、速度は我ら四帝と並ぶほどの能力を持っている。だがしかし、戦闘経験で得られる技術が欠けているな」


「なら、この戦いであなたを超えて技術力を身に着ける」


「ほう。この私が軽く見られるとは、なぁ!!」


「くっ……!?」


一振りで氷爪を砕かれ、そのまま剣先がリルの体を傷つく。


「ただの擦り傷。この程度どうってことない」


「それはどうかな?私の剣は氷だぞ?」


リルの傷口が徐々に冷えていき、体温が下がっていく。

それにより動きが鈍くなり、リルの長所である素早さがなくなっていく。


「くっ、浅はかだった……」


普段から使っているので、氷系がここまで厄介で強力な攻撃だとリルは改めて理解した。


「温めないと……。あまり得意じゃないんだけど……《拳闘術・火炎拳》!」


リルは下がった体温を上げるために、腕に炎を纏わせて地面を殴って一瞬だけ発火させる。


「なるほど、そうやって対処をするのか。今まで思いつかなかった」


「これで多少はまともに動けるようになった……」


「そろそろもう一つの剣を出すか、《氷剣(ひょうけん)》」


「……《氷爪(ひょうそう)》」


氷帝はもう一つの剣を生成して二刀流で構える。

リルも両手に爪を生成した。


先にリルが地面を強く蹴って氷帝に向かって高速移動をする。

切り裂こうとフェイントも混ぜて攻撃を行うが全て防がれる。

氷帝も片方で攻撃を防ぎ、カウンターでもう片方の剣で斬撃を行うが、危機一髪で避ける。


「……直接攻撃は不利。なら遠距離で……! 《氷針(アイスニードル)》」


指と指の間に氷で生成された細く鋭い針を具現させる。

そして力一杯かつ、しなやかで氷帝に向けて投げる。

それにより高速な針が飛来してくる。

あまりの威力で途中にあった岩が摩擦による減速が無く貫いていく。


「さすがにこれは避けれないな。細くて見えん」


氷帝は防御魔法を使わずに二刀の剣で針を弾こうとするが、急所は弾いているが手足に穴が空く。

それにより手足に力が入らなくなっていき、地面に伏してしまう。

さらに先程のリルのように体温が徐々に奪われる。


「まさかやり返されるとは……」


その後、氷帝の周りの地面が徐々に氷結していく。

その奇妙さにリルは見てることしかできなかった。

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