火と闇
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《火炎爆発》により手足を吹き飛ばすほどのダメージを防ぐことは出来たものの、爆風により飛ばされ地面に大きく転がる。
体内から感じる痛みにより上手く立ち上がることができず、バッグから回復薬を取り出し飲み干す。
「……良かった。さっきので瓶が割れてなくて」
回復薬により痛みが徐々に引き、片膝をつきながら立ち上がる。
「どうだい炎帝の力は?これで差が分かっただろ、王城から手を引いてくれないか?」
「何言ってる……。ただの属性魔法の性質違いのマージンだろ」
火属性魔法は攻撃魔法が多く存在して、さらには火という現象から攻撃特化の認識が広がっている。
そして闇属性魔法は攻撃魔法もあるが特殊な効果がある魔法も多いため攻撃とサポートができるバランスが取れた属性だ。
「だからと言って魔法の威力は然程変わらないだろ。この差は単純な魔力量の差だ!《火炎爆発》」
再びカーマインが爆発を起こしていく。
その爆発はたった一回ではなく、複数爆発を起こす。
単純な魔力量なら炎帝に劣るかもな。
「だが、攻撃魔法しかないお前はこれをどう対処する!《バインド》」
カズキが唱えると、カーマインの足元の地面から紐状の魔力が手足に絡みつく。
「くっ……!?」
手足を動かして抵抗するが解くことはできない。
体の周りに魔力を纏わせて無理矢理に紐を引き千切ろうとするが失敗で終わる。
この状況を見て、急に冷静さを取り戻した。
拘束されているうちに王城に潜入しないと。
また、戦闘になる可能性を踏まえて《黒き翼ブラックウィング》を使用しない。
どうせ見つかってるので、走って王城へと向かう。
◇
王城に向かってる最中に轟音が鳴り響いた。
カズキはその鳴り響いた方向に目を向けると、男性が大きく飛んできて近くに落下した。
その男性の正体は四帝最強と言われている地帝テールその人だった。
「えっ?……えっ?」
思わず二度見をしてしまう。
彼の姿は傷だらけで見るに堪えない状態で横たわっている。
「何が起きたんだ……」
今は足を止めている場合じゃないので、先程の光景を振り払い走って王城に向かう。
王城の両手扉に手をかけ、開けようとした力を入れた途端にカズキの横に炎が飛んで来た。
後ろに振り返ると、カーマインが次の魔法を唱えようとこちらに手を向けている。
「王城内に侵入させねぇよ! 今度こそお前を……始末する」
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