ヤンデレ少女は、ずっと彼といたい
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未だに桔梗に包まれている。
前には柔らかいクッションに後ろには、温かくて落ち着くベルト。
そして、自分の意思では抜け出せそうにない蟻地獄。
「ねぇ、私と一緒に暮らさない?」
「ごめん、今は仲間がいるから戻らないと」
「毎日こうやって、ぎゅー♪ってしてあげるよ?」
それは魅力的な提案……。
「今、揺らいだでしょ?」
「っ!?」
「ははっ☆ 図星だね。 その程度揺らぐのなら仲間の傍じゃなくて私の傍にいなよ」
「ち、ちがう! 今のは……」
俺は直ぐ様、桔梗に包まれている手を解き押し倒す。
「……やさしくしてね」
桔梗は俺から目を逸らし頬を赤く染める。
「違う! これも違うがそれも違う!」
「えー」
桔梗が低いトーンで残念がる。
「じゃあ何が違うの?」
「たしかに幼馴染の桔梗と一緒に異世界ライフを楽しむのもいいが、今は仲間と一緒にいるのが凄く大切なんだ!」
「まさかプロポーズされると思わなかった……」
唖然として、急に桔梗は手で顔を隠す。
そして、左右に転がりながら悶える。
それを数分間にあたって続くと、だんだん落ち着きを取り戻した。
「結婚式はいつあげる!?」
いや、落ち着いていなかった。
行動は落ち着いていたけど、心まで無理だったようだ。
「えっ? 結婚は決定なの?」
「うん♪ プロポーズしたからねー♪ ……裏切ったら――」
「裏切ったら?」
「手足が無い状態で生き返らせるね♪」
「さらっと、えぐいこと言ったな。 そして、当たり前のように俺は死ぬのか……」
「……殺すのは当たり前だよ?」
「いや、さっきのテンションはどこいった……。 真顔で怖いんだが……」
「怖がらないで、もう一回ぎゅーって抱きしめてあげる♪」
そのまま強引に抱きしめられる。
再び天国への門に訪れる。
そっか……、俺はもう結婚確定したんだな。
今の上機嫌の状態なら情報を教えてもらえるのでは?
「なぁ、桔梗」
「なぁ~に?」
俺を抱きしめているので凄く上機嫌で猫なで声だ。
今がチャンス!
「第一王子の秘密を知りたいな~」
「うん、いいよ。 何でも教えちゃうよ♪ 何から聞きたい?」
「じゃあ、氷帝を圧倒した固有スキルを教えてくれ」
「うっ……、そのことだけはあまり話したくないかなー……」
「さっき、何でもって言ったよね?」
「たしかに言ったけどー、イビルちゃんにこっ酷く怒られるもん」
「なんで、さっきからイビルちゃんが出てくるのさ」
「あっ……」
「桔梗にイビルちゃん、第一王子ってどんな関係なんだ?」
さっきまで柔らかなニコニコとした笑みが一瞬で崩れ、鳥肌立つような雰囲気になる。
「彼とは顔見知りと言ったよね?」
「ああ」
「私は彼の仲間じゃないのは本当だよ。 そこは信じて」
「分かった」
「雄介のそういう素直なところ好き。 それでさっきの話だけど、お互いに干渉しないように同盟は結んでいるって感じだね」
「俺にここまで情報を渡してるから干渉してるんじゃ……」
「直接的じゃないからセーフなの」
「それでいいんだったら、助けるけど」
「それって私の身を心配したってこと?!」
ガバッと俺の手を握りながら瞳を輝かせる。
「お、幼馴染だからな」
「ツンデレめ……」
「さっき素直って言ってなかったか?」
「私とイビルちゃんは契約みたいな関係だけど、彼とイビルちゃんは利害一致みたいな関係だからね、彼はすごくイビルちゃんに対して協力的な感じだったね」
「そうなんか」
「それで、雄介が一番知りたがっている彼の能力について」
「いよいよか……」
「氷帝を容易く勝利した能力の名は《神の眼――【前知】》、詳しく分からないけど以前、彼が魔弾は絶対に当たるって言ってたの思い出した」
「魔眼……」
「もう教えられることないよ、私だって雄介以外の男なんか興味ないから情報もってないし……」
「そっか、情報ありがとな桔梗」
「こっちも役に立てて嬉しいし、将来の予定のことも立てて嬉しいからいいよ」
「ははっ……」
「忠告した通り彼のことは気を付けてね。 私もイビルちゃんのお説教をくらう前に逃げるから」
桔梗は羽を顕現させ、転移魔法を使ったのか分からないが一瞬で我が家の前に転移していた。
空を見上げると日がとっくに沈んでいた。
「ずいぶんと遅い帰宅だね、お兄さん♪」
玄関の前には笑顔で答えてくれる神様だがその裏腹で怒っている様だった。
だから、俺は――
「ただいま♪」
と笑顔で言うしかなかった。
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