絶望
――森の中で、マジックシードの葉を採取し終わったころ。
「ノォォォオオオオオオオオ!」
俺は、涙目になりながら走り出してた。
「たすけてぇえええ!」
そう、俺はマジックシードの葉を採取したとこ、三匹の狼型の魔物に見つかり逃げていた。
「「「ガウ、ガウ!」」」
「ひぃいいい!」
この世は弱肉強食、理不尽でも何でもない。生き物にとって当たり前なのだ。
俺は、必死に逃げていた。一秒でも長く生きるために……。
誰かが、俺を助けてくれると可能性を信じ走り続けた。
でも、そんなことはあり得ないだろう。
だってそうだろう。赤の他人より、自分のほう大事なのだから。助けるのだとしたら、必ず死のリスクが発生する。こんな賭けを好きでやる、やつなどいない。
「「「ガウ、ガウ!」」」
どんな人間でも、狼に足で勝てるものだのいない。それは、子供でも分かるであろう。
それでも、俺は走り続けた。
「「「ガウ、ガウ!」」」
ついに、狼型魔物は俺に追いつき、俺の右足に噛みついてきた。
「ガルル……」
俺は、右足の脛とふくらはぎのところに喰いかれた。
そして、体勢を崩し転んだ。
「あ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
やだ、死にたくない。俺は、痛みで言葉が出ない。
無理に決まっている。ついこの間まで、平凡な高校生がいきなり、命の取り合いに参加するだなんて、俺は、この世界を甘く見ていた。魔法があるからって何でもできると思っていた。隣に、神様がいると安心していた。転移石があるから、危なくなったら逃げようと考えてた。
でも、実際はそんなの使う余裕なんてない。たぶん、神様はこのことを知っていたのだろう。
じゃあ、なぜ神様は転移石を渡したんだ?。わからない。
次会ったら問いただしてやる。
でも、次なんてあるのか?
今、ここで狼を殺さなければ、次なんてない。
俺は、死に際の間、刹那に頭の中で考えていた。そして、今、答えが出た。
それは、今ここにいる狼を殺すということ。殺せば助かる、殺せば神様に会える、殺せばこの痛みから解放される。
次の瞬間、俺は右手に握った鉄の剣で噛みついている狼の頭を思いっきり刺した。
狼の頭蓋骨を貫通し、大量の血が溢れ出した。
まだ、安心してはいけない。まだ狼は二匹残っている。
一匹の狼は、俺の頭に目掛けて噛みつこうとした。
俺は、そんなの許すはずがない。刺した剣を抜きそのまま横に振った。
すると、噛みつこうとしてきた狼の首を切断した。切断した狼の血が俺に降り注いだ。
今の場面を見ていた狼は、本能で殺されると思い、逃げ出した。
「はは……。助かったのか……。いてて……」
俺は、今思い出したかのように右足から激痛が走りだした。
傷口を見ると、未だに血が出ており、肉が見え、骨も見えそうだった。下には血だまりが見える。
たぶん、この血は俺の足から出た血と狼の血が混ざりあってるだろう。
「これ直せるかな……。すごく痛いんですけど……」
俺は、がむしゃらになりながら採ってきたマジックシードの葉を食った。
マジックシードの葉は、そのまま食べてもMPが回復すると《鑑定》さんが言ってた。
イメージしろ、俺。
傷を癒すイメージ。名前は、有名な《ヒール》にしよう。
「《ヒール》!」
足に向けて魔法を放った。すると、体から黄緑色に発光し、時が戻ったかのように見る見るうちに傷が治っていき痛みが消えた。なんと、おまけに、血でぬれていた頭もタオルにでも拭かれたようにきれいになっている。
血まで消えるなんてどうなっているんだ。
《鑑定》
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魔法 《ヒール》
・光属性オリジナル魔法
・時を巻き戻す効果がある。
・使用魔力は、一秒につき100
・一秒かけるのに巻き戻す時間は十秒
・また、チート魔法でも造ったの?
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《鑑定》さんの言っている質問を無視しよう‥‥。俺もこんな魔法を造っちゃって驚いてる。
でも、何で直せたのだ?
俺は最低でも六秒も魔法を使ったなのにどうして、回復したんだ。普通だったら発動しないのに。
そう思い考え一つの可能性を導き出した。
たぶん、これしかないだろう。
(ステータス)
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名前: タナカ ユウスケ Lv 6
種族:人間
HP 1500/1500
MP 300/1000
STR 400
VIT 400
INT 600
MEN 600
AGI 400
TEC 400
LUK 400
<スキル>
《身体強化 Lv:1》《火属性魔法 Lv:1》《水属性魔法 Lv:1》
《土属性魔法 Lv:1》《風属性魔法 Lv:1》《光属性魔法 Lv:1》
《闇属性魔法 Lv:1》《無属性魔法 Lv:1》《空間魔法 Lv:1》
《時間魔法 Lv:1》
<固有スキル>
《鑑定 Lv:-》《スキルコピー Lv:-》《急成長 Lv:-》
《魔法適正 Lv:-》
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やっぱり、レベルアップしたのか……。
このステータスって強いのか?この世界の基準はしらないんだけど。今度、神様に聞いてみようかな。
「あぁあ……。 マジックシードの葉も全部食ってしまったし、また探さないと……。 それに、飯も探さないとな。狼って食えるのか? たしか、外国で犬の肉を食ってるいる国もあるって聞いたことがあるし、狼も食えるだろう……」
「さぁて、少し休憩したらまた探しにいこっかな。 あぁー、今日は疲れた……」
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