第2主 コーラ
コーラは夢の中で未来を見ることが出来ました。
未来を語る夢なら、彼女は毎夜見ることが出来ました。だが、この夢はまた毎夜違っていて、その内容も確実じゃないと、コーラは十分わかっていた。だからこそ、同じ夢が訪れたら、その時だけにこの夢は予言になっていた。予言になったことのみ、彼女はそれを聞くべき者に告げていた。
時には、コーラのもとに自分の未来が知りたい人達が土産を携えてきて予言を求めていた。その人達には、コーラが確実と思えることしか教えなかった。それが出来なかった場合はもちろん、土産も取らなかった。
そして時にはコーラ自身も他人のところへ赴いていた。自分のもとへ訪れた予言はそれほど大事と思い、未来を知るべき者を探すために旅に出て行った。
ある日、帝がコーラを呼び出して予言を求めた。コーラには語れる夢があったが、彼女はその夢を見たのは一回のみで、まだ確実な予言として扱わなかった。だが、帝の命令に逆らえずに、それに、その夢の内容はとても大事と思い、コーラは結局、帝に未来を語ることにした。
「帝様に息子が生まれるが、その先に娘が生まれる。ご息子がいつも帝様のそばにいて、いずれは帝の座を継ぐが、あなたは自分の娘と一生をかけても会えないでしょう。だがあなたがそばにいない頃には、あなたの子供が会える。その時、君の息子の手には偉大なる威があり、娘の心にはそれに並ぶ力が潜むと、私は見た。その次はどうなるのか、私にも分からない」
帝から高価の土産を貰い、コーラは家に帰った。
だがその夜、彼女は帝の子供のことを語る夢を再び見た。その夢は前回より長くて、内容も濃っていたが、コーラはそれを語るために宮殿には戻らなかった。
それから二十年が経って、コーラは三回目にその夢を見た。
今回なら、コーラは旅に出た。彼女はそれほど、この夢に見た未来を語りたくて仕方がなかった。
だがコーラに行先は宮殿ではなかった。この夢はもう、帝に教えるべきな夢ではなかったから。
彼女の旅は短くて簡単な旅ではなかった。夢でちゃんと見た行先だったとはいえ、夢はどれほど現実的であっても、現実とは違う。それに、行先の場所の名前だって、夢は教えない。
ある日、コーラ夢にでも、現実にでも見たことのない家を見つけた。その家はどの村や町から離れた場所にいて、その庭に二十歳ぐらいの若い女性が鶏を追って走り回っていた。その女性が暴れている鳥をやっと捕まったころには、コーラも家に辿り着いた。
「こんばんは。この家の住民は君かい?」
コーラがそう訊きました。
「こんばんは」
若い女性が鶏を抱いたまま答えました。
「長い旅でお疲れのようなので、どうぞ、お寛ぎください。このための家でもありますから」
「知らない人を迎えても平気なのかい?」
「もちろん」
女性がクスクスと笑いました。
「私には失ってもいけないものなど、一つもありませんですから」
「なら、君の命は?」
女性がもう一度笑って答えました。
「旅で疲れた人が、寝床と食事をくれた人を殺したりしない、でしょう? どうぞ、いらっしゃってください。寝床もあり、温かいご飯も用意します。あなたの名前は?」
「私はコーラ。君は?」
「コーラさんの方が名前を付けてください。みんなはそうしていますから。私はかまいません」
「それなら、私は君をマリーと呼ぶわ」
そう言って、コーラは馬から降りて家の中に入った。マリーは馬に餌を与えてから、自分とコーラにも飯を作った。
美味しい晩御飯を食わされて、コーラはマリーに感謝をして、少し尋ねました。
「君はそうやって一人で暮らすのかい?」
「はい、そうです。家事なら、自分でやれますから、助手がなくても平気です。そして、コーラさんみたいに誰かが来たら、私はこの人を泊まらせます」
「友達はいっぱい持っているらしいわ」
「いいえ、違います。ここに来る人は二度と帰らないですから」
この発言に伴う笑顔を見て、コーラは唖然とした。彼女なら、そんなことで悲しんで仕方がなかっただろう。
「なら君はなんでここに…」
マリーは正直に答えました。
「みんな、すごく疲れて来るなんですから。きっと、私の家は他の家から遠いです。だから私はここに残り、みんなが無事旅を続けられるように、ここに住んでいます。訪れた旅人を泊まらせて、宿代でさえ取りません」
コーラはびっくりした。
「何の代も取らずに? それでもやっていけるのかい?」
「何かを与えたい人が何かを与えたら、ありがたくて頂きます。何も与えたくない人はただ去っていく。コーラさんも、このまま去ってもいいです」
「さすがにそれは…」
「もう、宿代は貰っていました」
マリーはクスクス笑ってそう答えました。
「コーラさんは私を心配していますから」
数時間後、寝る前にコーラはもう一つの質問を述べた。
「私が付けた、マリーという名前は偽名とみるけど。どうして君は自分の本名を名乗らないかい?」
「私にとって偽名であっても、あなたにとっては本名に成っています。今まで、私はずっとここで住んで、自ら旅に出たことはありませんでした。だから私は自分に約束をしました。私の名前を当てた人と共に旅にでる、と」
その夜、コーラにいつものように未来を語る夢が訪れましたが、彼女がその夢を見るのは、初めてであった。そしてこの夢はコーラをびっくりさせた。
その夢は彼女を泊まらせた家の主を見せたけど、驚くべきなことはそれではなかった。むしろ、その夢は未来の出来事というより現在するものを見せていたから、彼女をびっくりさせた。
だがコーラは確信していた。これも予言だった、と。
この夢が終わって、夜明け前にコーラを起こしたが、彼女は再び眠りに落ちなかった。
自分に溶融がないと、彼女はすでに承知していたから、朝ごはんを食べてすぐに旅に出た。最後に、家を離れる前にコーラはマリーにそう言った。
「私は今まで自分のことをあまり教えなかったが、君も何も訊かなかったわね。だが、今言おう。私は未来を見ることが出来る。私は夢を見るたびに、未来を予言することもできる。今の旅は、この予言を語るための旅でもある。そして今夜、また予言の夢が私に訪れた来ました。その夢は君のことを語っていたが、予言が繰り返して来るまでは、私はそれを語ることは出来ないわね。君の本名なら、今の私は知っているが、私たちが再び会えるまでは、君をマリーと名乗り続けよう」
マリーは頭を横に振った。
「私たちはもう、会えないでしょう。この家に戻る者はないんですから」
「この家で会えるとは限らないだがな」
そう言って、彼女は馬に跨って旅を続けた。
日が沈むころに、コーラは大きくて華やかな町に辿り着いた。道沿いに馬を連れて、彼女は次々と夢で見たものを気付き、やっと目的地に辿り着いたと、確信していた。
何度も何度も三回も見た夢を頭の中に繰り返し、それを確信していたが、不思議なところにマリーの家で見た夢はまるでその予言の一部のようにどんどん浮んで来ていた。
そしてこの町の中にコーラはやっと探していた人達を見つけた。それは、三回目の夢に初めて現れた青年と、最初の夢から出ていた乙女であった。その乙女の目には太陽にも星にも勝る光が輝いていた。
二人を見た瞬間、コーラはふと自分の過ちに気がづいた。この二人には、未来を教えないほうがいい、と。
二度と未来を語るための旅に出ないことを決めて、コーラは立ち去ろうとしたが、その時、目の輝いている乙女が彼女に近づいて、ほほ笑みながら声をかけました。
「私はあんたのことを知っているよ。あんたの名前はコーラで、未来を見えることが出来る。ここに来て、私に何か語りたい、でしょう? 今は驚いているでしょう。怖いことはないよ。あんたは未来が見えるけど、私は現実が見えるんだから」
第2話まで読んでくれてありがとうございます。
この話は全部で13話になります。できる限り、毎水曜日にアップするように動力します。
一番長いの12話は少し遅れますと思うけど。そうならないように頑張ります。




