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ヒト。  作者: 紗奈
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 目を開けたら 其処に居た。


息をし、手足を自由に動かしていた。

言葉を発し、食物を口にしていた。


いつからだろうか、私が其処に居なくなってしまったのは。



 私は何?



毎日流れる物騒な報道、コメンテーターが饒舌に何時間も語るニュースを、私は無心で眺める。泥沼劇の昼ドラをBGMにしながら、憂鬱な日常は過ぎていく。

カフェに行けば、奥さん連中が大声で談笑している。内容と言ったら旦那か子供の愚痴かママ友の悪口だ。

夕方になれば授業終わりの学生達がぞろぞろと道を塞ぎながら歩いている。後ろを歩いているお年寄りが困っている。

夜になれば飲み会帰りのサラリーマン達が、千鳥足で駅のホームを歩いている。車内が酒臭い。

ネットを覗けば誹謗中傷と世間への不平不満で溢れている。







嗚呼、、、、、実につまらない世の中だ。






 自己の満足の為だけに生きている人間が多過ぎる。



自分さえ良ければなんでも良いという考え

自分の感情を、我武者羅に他人にぶつけることでストレスを発散させる言動

相手の揚足を取ったり失敗に気付くのはプロなのに、自分が犯した事柄については一切認めず。言い訳がましい言葉を羅列する性格


嘘を嘘で固めて自分の首を絞めているというのに気づかない人達。




 人間は愚かで浅はかで欲望の塊。醜い生物である。


都合の良いように受け取ることで自己解決し、正当とさせる恐ろしい生き物。


私はそんな人間が大っ嫌いだ。


そんな大っ嫌いな人間である私は  この世で一番嫌いだ。




 人間はパターン化している。発言や行動の根本を探ると大元は大体決まっているのだ。

診断テストで分類される様に、人間の性格は数百パターン、若しくは数十パターンに区分けできる。

だから、その人の口癖や手足癖、目線や声のトーン、性格を把握していたら、本音なのか嘘なのか見分ける事が容易に出来る。


普段の様子を意識せずとも情報として脳に入ってくる為、特別意識して観察していたりすることは無い。

逆に言えば、対象の目や表情を見れば大体の人間は見える。

目の奥が笑っていない、口元が引きつっている、目が泳いでる、目の焦点が合わない、声の大きさや口調、好みの服装や髪型等で判断できる。




だからつまらない。






小学生の時に私は人間に飽きた。



それからというものの、興味の対象が静物や景色、人間以外の生物に移行した。

だからなのか、生まれ持ったものなのか


私は人の顔が覚えられない、名前は何か月も一緒に過ごさないと数日で忘れる。それが大切な人でもはっきりとしたイメージが出来ないのだ。

人間だけではない、お気に入りの曲や物語は聴いた瞬間から右から左へ流れていく、歌詞に関しては何度読み返しても入ってこない。大好きな作品であっても、キャラクターの名前やシーンが思い出せない。断片的に僅かしか記憶出来ない。

一般教養で必要な暗記系の勉強も全く。


私は理解力が平均より遥かに遅いみたいだ。


自分なりにこうだと理解した瞬間から、そのことが間違いであっても脳が修正を許さない。だから、何度読み返しても忘れ物をしたり誤認してしまうことが日常茶飯事だ。


人との会話を一生懸命聞いても理解できない事も多く、わかったふりをすると後で会話のズレが生じ、責められることもしばしば。











然し、記憶力というのが違う部分で使われているという事実を知ったのはつい最近である。

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