同窓会4
「こんにちは。」
突然、声をかけられた。
「こっ、こんにちは。」
「今の話、聞こえてたので。」
誰だ、コイツ。
「今は逗子に住んでいる。近々、引っ越さければいけない。それで困っている。」
鼻立ちの揃った顔立ちで、日焼けした肌が印象的な女の子だ。
「あのっ。」
「私、佐藤香奈。8組の。」
僕が戸惑っていた。
名前を聞いても彼女のことを思い出せない。
8組ってことはこの子も理系か。
「僕は。」
「浅井拓実君でしょ。」
黙って頷く。
「話を続けていいかしら。」
「うん。」
完全に押されている。
「私は鎌倉に住んでいる。同居していた相手がでていった。それで困っている。ちょうどだと思うんだけど。」
「話がよくみえないんだけど。」
「住むところがなくて困っているアナタと住む相手がでていって困っているワタシ。ちょうどいいんじゃないっていってるの。」
「はあ。」
「ここはお互い、助け合わない?」
「頭の整理がついていないんだけど。」
「何か問題ある?」
「いやっ。」
「問題ないでしょ。じゃあ、決まり。」
「決まりって。」
「そうそう。海は見えないけれど、そんなに遠くはないわ。自転車とサーフボードの置く場所はあるわ。部屋は狭いけれどね。」