同窓会3
「拓、探したぞ。ここにいたのか。」
「みんなのいるところ苦手で。」
「あいかわらずだな。ところで頼みごとってなんだ?」
「単刀直入だな。」
「そんなに時間とれなさそうなんで。」
「今、逗子に住んでいるの知っているだろ。」
「あの家賃2万円のところか。」
「そこをでなきゃいけないんだ。」
「なんで?」
「そこの大家さんの息子が帰国する。帰国したら、速やかに明け渡す。これが借りるときの条件だ。」
「それで家賃2万円か。」
「いつまででないといけない?」
「月内だ。」
「2週間ないな。」
「ああ。時間も金もない。それに。」
「それに?」
「兄貴が秋か冬にドイツに渡るんだ。ドイツに行くと兄貴が今、住んでいるところに住める。それまで泊めてくれないか。寝に帰るだけのようなものだし。」
「いくら拓の頼みごとでもそれは無理だな。俺のところ、そんなスペースがないからな。」
「そっか。。」
「で、どうする?」
「案は2つ。一つは実家に帰る。どうせ、もうすぐ夏休みだし。夏休みは住み込みで働いて。学校はじまっても、毎日行く必要がない。ただ、交通費が今の家賃より高い。そうなると海はしばらくお預けだ。」
「もう一つは?」
「海仲間のところに転がり込む。」
「あてはあるのか?」
「なくもないが、逆に海にどっぷりになりそう。」
「脇坂~」
遠くから声がする。
「サッカー部の連中だ。いかないと。悪いな。力になれなくて。また、連絡くれ。」
「ああ。連絡いれるよ。」