同窓会
梅雨の6月。
雨と雨の合間の天気。
どんよりとした雲が空を覆ってはいるが、雨は落ちてはいない。
同窓会は、15時から。
人数が多少、増減しても構わないホテルでの立食形式。
18時には気のあった連中と二次会。
それでもその日のうちに十分、地元に帰るかことができる。
出席者、多いなあ。
小五郎の結婚披露も兼ねているからか。
「拓!」
「よう、ワキ。出席者多いなあ。」
「400人だよ。」
「400人って、全員じゃないか。」
「まさか、さすがに全員はこないよ。ただ、小五郎の結婚披露とあって、他の学年からの参加もそれなりにいるよ。案内状は送っていないんだが、問い合わせがあって、是非、出席させてほしいってヤツは出席を認めたからな。」
「それでか。知らない顔が結構いるから。」
「同学年も知らないやついるだろ。だって、佐藤久美は覚えていないんだろう。」
「しっー。それは言うな。それより、頼みごとがあるんだ。」
「なんだ?」
話しはじめようとしたところ。
「脇坂くーん。」
「拓。ごめん、後で聞く。まだ、準備が終わっていないんだ。」
「ああ、幹事はたいへんだな。」
ワキとは中学時代からの友達で、大学にいってからも定期的に連絡をとっている唯一の同級生だ。
ワキは明るく、ひとなっつこい。
そして、ひとあたりもいいので女子にも人気がある。
それに比べて、僕は人とあわせるのが苦手。
1人でいることが多かった。
なぜ、ワキと仲がよいかって。
中学1年の秋、ワキが静岡から僕の通う中学に転校してきた。
「静岡からきました脇坂です。よろしくお願いします。」
「脇坂はそこの席だ。浅井、面倒みてやれ。自宅も近いはずだ。」
結局、転校初日、一緒に帰ることになった。
ワキとは、その日からずっと仲がよい。