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真実6
飲み物を持って、香奈が戻ってきた。
「拓実君、お母様に挨拶させていただくわね。お父様にも手を合わせたいし。」
「もちろんです。ただ、香奈と一緒に住んでいることは内緒にしといてもらえませんか。」
「そうね。刺激強すぎだもんね。」
香奈のママが車を走らせる。
「ただいま。」
「拓実、遅かったじゃない。」
「お客さん連れてきた。」
「ごめんください。」
「あら、佐藤さん。」
「ご無沙汰しております。」
「こちらこそ。」
お袋が僕に向かって言う。
「お客さん連れてくるならひとこといってくれないと。掃除してないじゃない。」
「お気を遣わないでください。」
「それより拓実、佐藤さんと知り合いだったのかい?」
香奈を指して。
「ああ、おんなじ高校。」
「ご無沙汰しております。」
香奈が頭を下げる。
2人は、親父に手を合わせ、少しの間、歓談。
「では、そろそろ失礼させていただきます。」
「なんのおかまいもできませんで。」
お袋と香奈のママの会話。
「じゃあ、夜、また。」
「うん。また。」
僕と香奈の会話。




