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099 「湖の上に建っている城」

王宮は、湖の上に建っている城である。

正確には、湖の小島に建てられた城だというべきだろうか。

中央に高い塔があり、優美な曲線を描く純白の城壁に囲まれたその城は、飛び立つ寸前の白鳥を思わせる美しさがある。

城と湖岸の間は、水によって隔てられているが、城の正面にある城門に橋が折り畳まれて格納されていた。

その橋を伸ばすことで、湖岸と城を繋ぐことができる。


エリカは、城門の前に立った。

ローゼンベルクに王宮は支配されており、そのバックにCIAがついていることを思えば、大胆な行為だ。

でも、エリカにしてみれば、そこは本来自分の城である。

一体そこへゆくために、正面からゆく以外の方法があるかとも思う。

そう、エリカは帰ってきたのだ。

傍らに立ち上がった影のような、守護生命体を従えて。

エリカは、叫ぶ。


「フォン・ヴェックが自らの城に戻ったぞ!」


エリカの声は、湖の隅々まで渡ってゆく。


「血迷った僭王に従うものよ。今我に従い赦しを乞えば、全てを不問にするぞ。さあ、城門を開き真の王が誰であるかを示すがいい」


一瞬、セイバー・オブ・ブラックの姿が霞む。

同時に、城壁の望楼からライフルを持った兵がふたり、湖へ落ちる。

エリカは、哄笑した。


「我に逆らうものは、こころしろ。我が黒き剣は、音より速いぞ」


重々しい音とともに、橋が降りてくる。

そして、城門が開いた。

エリカの瞳は、冷たく鋭くなり、その唇は両端を吊り上げ笑いの形に見せる。

王宮から出てきたのは、漆黒の狼とエリカと同じ顔を持つおんな、クレールであった。

狼は、うんざりしたように、言葉を吐く。


「なんのつもりだ、フォン・ヴェックの娘。この王宮に、道化はひとりで沢山なんだが」


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