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062 「その本を手にとり、ページを開く」
さてと。
わたしのはなしは、もういいよね。
だって、つまんないじゃん。
馬鹿なおんなのこが、自分の宿命にたどり着いたというのに、それと気がつかずさらに愚かな戦いへ身を投じるはなしなんてね。
そのなことより。
そう。
なによりも、いとおしい。
あなたの。
あなたの、話をしましょうね。
あなたは、幽霊となったというわたしを追って、夕暮れの図書館にいた。
燃え上がる深紅の光に染め上げられたその本、表紙に金色に輝く文字が刻印された本。
あなたは、この文字を見た。
「book of saturday」
そして、その本を手にとり、ページを開く。
ああ、あなたは、そのときあなたの運命を開いてしまったの。
あなたは、そこに書かれている、奇妙な物語を読み始める。
あなたは、それが何か理解できてはいなかったけれど。
そこに書かれたいたのは、まぎれもなく本の中で繰り広げられている、出来事だった。
アルフレート・ローゼンベルクのいる王宮。
あなたは、そこで展開される物語を読むことになる。