表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/132

059 「土曜日の本の謎」

そう。

わたしは、ウルリッヒによってイギリスから離れ今にいたる旅に誘われることになる。

ウルリッヒと、始めて会った時。

彼はまだ少年といってもいい年だった。皇帝ルドルフ2世の支配するプラハ。

そこでわたしは、世界の始めから隠されていた秘技を追い求めていたのだよ。

そこには。

ヨーロッパ中から集められた、魔法使いたちがいて。

それぞれの研究に没頭していた。

そんなわたしの元に、ウルリッヒがやってきたのだ。

美しく謎めいた笑みを浮かべるその少年は、信じがたい本のことを語り始めた。


そう、お嬢ちゃんも手にしたことがある、あの本のことを。

それは、「土曜日の本」と名付けられた、とても奇妙な本。

そこには、世界の全てが、そして万物の根源が書かれているという。

ウルリッヒはその本を解読するための秘密を記した、ヴォイニッチ写本を持っていた。

そしてウルリッヒはそのヴォイニッチ写本をわたしに託すと、姿を消した。


土曜日の本についての彼の話は、信じがたいものがあったが。

わたしの元へ持ち込まれたその本は、あまりに深い謎に包まれており、その謎の果てしなさにわたしは魅了されてしまった。

わたしはそれを人生をかけて、解き明かそうとしたのだが。

その一端を理解できたときには、わたしは地位も名誉も失った、ただの老人となっていた。

そんなわたしの元へ、彼はもう一度現れる。

成人し、騎士となったウルリッヒが、どこか不敵な笑みを浮かべ。

土曜日の本そのものを、その手に携えて。

わたしに会いに来たのだ。

わたしは、ついにわたしの運命にたどりついた。

彼は、土曜日の本を持つがゆえに、バチカンに追われる身であったから。

わたしたちは、彼の用意した船でイギリスを脱出することにした。

その船を操っていたのが、エル・ドレイク。

つまり、キャプテン・ドラゴンなのだよ。


わたしたちは、それからバチカンの追求から逃れるため、長い長い旅にでることとなる。

東に向かって。

エジプトを、トルコを越え、さらにインド洋も越え。

気がつけばわたしたちは、ジパングとよばれる島国の近くにまで、来ていたのだ。

そしてそのころには。

わたしたちは、土曜日の本の謎をかなり解き明かしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ