表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/132

051 「わたしって、何者なんでしょう?」

わたしは、むうとなる。

「だから、あんたたちこそなんなのよ。わたしはただの女子高生なのに。あんたたちなんてドクターやらキャプテンやらへんな肩書つけてるじゃない」

ドクター・ディーは。

不思議そうにわたしを見る。

「われらは単に、本の中の住人だ。お嬢ちゃん、あんたは外の世界の人間だね」

「そうよ」

「初代フォン・ヴェックが造りあげた守護生命体。その中でも特に強力な力、アビリティーを持つ黒の剣士や赤の女王、緑の王や金の乗り手をわれらは、メジャーアルカナと呼ぶ」

ドクター・ディーはわたしを力強い眼差しで見つめながら、言葉を続ける。

「メジャーアルカナはね、お嬢ちゃん。フォン・ヴェックの一族しか使えないのだよ」

え? とわたしはなる。でも。

「お嬢ちゃんのいいたいことは、判るよ」

ドクター・ディーは、静かに頷く。

「フェリシアンやクレールがメジャーアルカナを使っているのを見たのだろう」

わたしは、大きく頷く。

「クレールについては、単純だ。彼女はエリカ・フォン・ヴェックの肉体を複製した幻体を手に入れた。肉体がフォン・ヴェックのものであれば、メジャーアルカナは使える」

「じゃあ、フェリシアンは?」

「そこはな」

ドクター・ディーは咳ばらいした。

「そこの、フォン・ヴェックの娘に説明してもらおうか」

エリカは。

不機嫌な顔になった。

「わたしは、そのお」

歯切れの悪いエリカにわたしはいらっとなる。

「なによ、はっきり言えば?」

「フェリシアンに抱かれたのよ」

「はあ?」

ドクター・ディーは、もう一度咳ばらいする。

「フォン・ヴェックの一族の親となったものは、フォン・ヴェックの一族とみなされる」

ええええ!

「あんた、妊娠してたの! エリカ」

「妊娠してたのは、リズあなたが焼いてくれた前の肉体」

ああ、なるほど。

「でも、それだと子供は死んでしまった、てことだよね。もうフェリシアンは親じゃあないよ」

ドクター・ディーは、首をふる。

「必要なのは、契約するときだけだ。一度呼び出しに成功すれば、後は関係ない」

うーん。

わたしはあえて考えないようにしていた問題に、直面する。

わたしはエリカと、似すぎていた。

それこそ双子のように。

偶然で済ませるのは少し。

安易な気がしていた。

「えーと」

わたしはくらくらしてきた。

「わたしって、何者なんでしょう?」

「だから、それを聞いている」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ