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049 「キャプテン・ドラゴン」

エリカの近くにいた五つの小隊は、血飛沫の中に沈んだ。

黒の剣士は、肉眼では捕らえられない速度で兵士たちを切り刻む。

手が飛び、足が地面に転がる。

両断された胴体が、無造作に地面へ落ちた。

まるで子供が紙人形を、鋏で好き勝手に切り裂いていくのを見るようだ。


その様を見ていた日出男が、眉間に皺寄せた。

「わざと惨く斬ってる、まずいな」

「何?どういうこと」

「半数は惨く斬って残りの兵を怯ませて、残りを投降させるつもりだエリカ様は」

日出男は首を振る。

「まずい。そんな甘い考えでは」


突然。

轟音と光が走る。

エリカは爆煙に包まれた。

おそらく、エリカの視界を奪うのが目的の爆発。

「くそっ」

日出男は抜刀して、走る。

銃声が轟いた。

倒れたのは。

エリカを取り囲む、兵たちのほうだった。


日出男は、戦艦を見上げる。

ライフルを手にした男が、甲板に立っていた。

黒革のコートを身につけ、やはり黒い革製の鍔広の帽子で頭を覆った男。

男のライフルが再び火をふく。

エリカの回りの兵が、また一人倒れた。

「キャプテン・ドラゴン!」

日出男が男を見上げて叫ぶ。

男は叫び返した。

「しっかりしろ日出男。姫君の面倒を見るのはおまえの役だぞ」

日出男は苦笑しながら、兵たちの中へ斬り込む。

やがてエリカは視界を取り戻し、黒の剣士が再び剣を振るう。


あっというまに、かたが付いた。

後には切り刻まれた死体があるばかり。

エリカは甲板を見上げる。

「ありがとう、エル・ドラコ、いえキャプテン・ドラゴン」

キャプテン・ドラゴンと呼ばれた男は、鍔広の帽子の下から猛禽のような鋭い瞳で僕らを見下ろす。

「上がってこい、フォン・ヴェックの娘。ドクター・ディーが待っている」


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