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022 「あなたに害をなすものへの、復讐を誓った」

あなたを陥れるのは、退屈とストレスにまみれた少女たちにとってとても簡単なことだった。

あなたには、嘘という機能がない。

それは、あなたに刻印が印されたときに欠落したもののひとつだ。

あなたは、ひとが嘘をつくものであるということを理解できない。また、あなた自身も嘘をつくことはできなかった。

いじめグループのコアとなる少女たちは、少数だ。

いじめを行うというのは、当然リスクがある。

いじめをするにはそのリスクを無視できるだけの愚かさと、意思の強さが必要だ。

いじめグループは十分な愚かさと意思の強さをそなえており、かつ自分達が集団のなかで支持を得るように持って行き容易に証拠をのこさない狡猾さを持っていた。


あなたに対しておこなわれたいじめは、とてもシンプルだ。

集合場所や移動時間について、あなたにつたえる情報を欠落させてやればいい。

普通ならば暗黙の了解で補われるような情報を、隠匿する。

あなたは、暗黙の了解も理解できない。

あなたに与えられる情報は、すべて明示的でクリアである必要があった。

でも、それがなされなければ。


あなたは、学校のなかで途方にくれる。


その状態で、あなたが苦手なひとの集団に囲まれてしまったらあなたはパニックに陥った。

あなたは、泣き出してしまう。

迷子になった子供のように。

パニックを起こしたあなたを、教師たちはきちんとカームダウンさせることはできない。

パニック中のあなたに必要なのはひとつだけ。

感覚の遮断。

闇と静寂があなたを回復させる。

でも愚かな教師にはそれが判らない。

話しかけて、事情を聞き出そうとする。結果的に状況はさらに悪化する。


いじめグループは、わたしが駆け付けられないタイミングを見計らってあなたを陥れた。

でも、わたしは駆け付ける。

あなたを救うため。

わたしは子供のようにしゃくりあげて泣くあなたに、制服の上着を被せると静かになれる場所へつれてゆく。

主に職員用のトイレ。

そこで泣きつづけるあなたを抱きしめる。

わたしにできるのは。

あなたが落ち着くまで、いっしょに泣くことだけ。


わたしは、ついに過ちを犯す。

わたしは。


あなたに害をなすものへの、復讐を誓った。


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