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021 「サクリファイスのようなもの」

あなたの高校への進学が決まり、お母さんはとても喜んだ。

入学祝いに携帯電話を買ってくれた。

そう。

いま、この物語を書き込んでいる携帯端末。

それがあなたに、与えられる。

そしてその携帯電話はあなたの思考の一部分を担うようになった。


さて。

高校はあなたを手厚く迎えてくれた。

あなたには、色々な特例措置が認められることになる。

例えば服装。

あなたは、スカートを履くことがとても苦手だ。

スカートを履いていると、スカートに隠れた部分の足を上手く認識することができない。

あなたにとって、足が胴に繋がっているのを視認できるどいうのはとても重要なことだ。

あなたは、中学のころはジャージ姿で過ごしていた。

高校では男子のスラックスを着用することを許される。

あなたとわたしはよく似ていた。

まあ、双子なんだしあたりまえか。

でもあなたはわたしと違い髪を男の子のように、短く刈り込んでいる。

あなたは長い髪のように、自分の意思でコントロールできないものは苦手だ。


あなたは、登下校についても特別な措置をとられた。

あなたは人混みが苦手だ。

無秩序に動き話をするひとの群れに、あなたは恐怖を感じる。あなたは、予期できないものに対応することができない。

あなたは時間をずらして登下校をして、混雑を避けるようになる。


ひとめを避けるように孤独な世界に生きる、男装の美少女。

あなたは色んな意味で目立つ存在になってしまった。

進学校のつまらない日常でストレスを溜め込んでいつもはけ口をさがしている少女たちにとって、あなたはまさに差し出されたサクリファイスのようなものだ。


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