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013 「あなたの話をしましょう」

さて。

エリカの話は、ここで一旦おしまい。

本の中へ呼び込まれたわたしの話もあとでするとして。

そろそろ、あなたの話をしましょう。


ああ。


愛しい、愛おしい。

あなたの話。


わたしのあなたへの愛は、きっと過剰なんだ。

過剰な愛は、絶望に似ている。


でも。

絶望の果てよりもっと遠く迄。

絶望の向こうにある死よりも、もっと深く。

そして死の回りに渦巻く哀しみや憎しみより、さらに激しく。


わたしは、あなたを求めている。

わたしは、あなたを愛している。

愛して、アイシテ、あいしている。


子供のころ。

本当に幼かったころ。

あなたとわたしは、一つだった。

同じ夢を見て同じことを考えて。

喜びや哀しみもわたしたちは、一つのものとして味わっていた。


あなたが、あの残酷な世界の刻印を刻まれるまで。

世界はあなたを選んだ。

わたしではなく。

わたしたちはいつものように、並んで夕日を見つめていた。

金色に燃え上がるそらを。

そして渦巻く赤い炎のような太陽を。

でも。

あなただけには見えた。

水晶の迷宮が。狂気の渦巻く虹色の光に彩られ、見るものの精神を粉砕する巨大な音と光の魔城。


そしてわたしは、ひとつになった。

楽園から放逐されたエヴァのように幸福なときから切り離され。


さて。

わたしが本の中に消え、死者となってから一月後。

あなたは、アリスと共にいた。


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