120 「ジェットコースターに乗ったときのような気分」
さて、わたしたち三人は、道化に連れられて小さな部屋へと、移動した。
そこは、五角形をした、薄暗い部屋である。
どこにも窓はなく、壁は夜のように黒く塗られていた。
天井は、五角錐をしており、やはり黒く塗られているが、天体や惑星の図が描かれている。
この部屋の証明は、壁につけられた燭台が全てであった。
多分、ここは魔法的な儀式に使われていた部屋なんだろうな、とわたしは思う。
その部屋の中央には、円卓が置かれてれており、わたしたちはその回りに腰をおろしている。
その円卓の中央には、あのカードが置かれていた。
ワールド・オブ・クリスタルレインボウ。
七色の焔に包まれているかのように見える、水晶の城が描かれたカード。
道化は、相変わらず機嫌よく笑っている。
その作られたような笑顔は、彼を人形のように見せていた。
「では、はじめようか」
道化はまるで、ピクニックのランチを始めるかのように、言った。
わたしは、緊張してくる。
なんだか、ジェットコースターに乗ったときのような気分だ。
エリカは、緊張しているようには見えないが、少しいらついているように見える。
さっさと、仕事を終わらせたいと、顔に書いてあった。
まあ、それは、わたしも正直同じ気分なんだけどね。
道化は、白黒に塗り分けられた顔に笑みを浮かべたまま、高らかに宣言する。
「古の契約に基づき汝を召喚する。ワールド・オブ・クリスタルレインボウ」
それは幻影のように、わたしたちの前に、姿を現した。
薄闇の中に、水晶の城が鋭い輝きを放ちつつ、降臨する。
わたしは、息をのむ。
それは、とても美しかった。
渦巻く七色の光は、白や銀色に輝く水晶の結晶の中に閉じ込められ、光と色彩の迷宮を造り上げている。
そして、それは間違いなく生きていた。
それは、世界という名の生き物なのだ。
世界はそして、アビリティーを発動させる。
わたしたちは、過去に向かって旅立つことになった。
わたしたちは、身体がふわりと浮き上がったような気がする。