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117 「ワールド・オブ・クリスタルレインボウ」

わたしは、その時狼狽えた顔をしてたと思う。

沙羅やエリカが、心配そうにわたしを見ていたが、彼女たちに気を使う余裕が無かった。

もっと酷いことに、あなたがわたしに声をかけて落ち着かそうとしていたのにすら、気づいていない。

ただ、わたしには、道化の顔だけが見えている。

白と黒の市松模様に塗り分けられ、作り物のような笑みを浮かべたその顔。

わたしは、少ししわがれた声で、道化に問う。


「ねえ、どうしたらいいの? 方法はあるの」


なぜか、エリカがそれに答える。


「残念だけどリズ。無理だと思う」


そう言えば、エリカは一度死んだじゃあないの。

それと、同じだよね。

幻体さえあれば、分離できるんじゃあ。

わたしの縋るような目付きにから、わたしの気持ちをよんだエリカが言った。

「わたしの場合は、本のアーカイブとなってたから幻体に移れたけれど、別のひとに入り込んだら分離することは無理なのよ、リズ。入り込んだ瞬間から同化が始まるので、分離しようとしたら壊れてしまう」

わたしは、あたまがくらくらし始める。

こんなはずじゃあ、ない。

これは、わたしたちが、望んだ結果なはずなのに。


「方法は、あるんだよ。リズ」


道化は、朗らかにそう言った。

その場にいたひとは皆、道化のほうを見る。

まるで、ねたがわれた詐欺師を見るような、疑わしげな目で。

でもわたしだけは、希望に満ちた目でみていたと思う。

道化は、そんな視線を気にすることもなく、一枚のカードをとりだした。

アニメに登場する、未来から来たロボットがポケットから道具を出すときのような仕草で。

わたしたちの前に、そのカードを晒す。


「これは、大アルカナ、ワールド・オブ・クリスタルレインボウ」


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