001 「神さまは、一週間で世界を造った」
神さまは、一週間で世界を造った。
最初は光を。
そして、大地にそら、海を造る。
山や川、植物や動物に魚と鳥。
多分ちょっとした気まぐれで人間も造った。
それが日曜から金曜まで。
土曜日には休憩をした。
そりゃあ、神様さまだって休まなきゃあね。だって人間みたいにへんてこで、うんざりするような生き物まで造ったんですもの。
でも、わたしは知っている。
神さまは休んでなんかいなかった。
彼は、土曜日に本を書いていた。
その本はこういう名がつけられている。
「土曜日の本」
それは、世界の取り扱い説明書。
物を造ったんだから、もちろんマニュアルを書かなきゃね。
携帯電話にだってあるでしょう。本体の倍以上に大きいマニュアルが。
誰も読んではいないでしょうけれど。
マニュアルなんてなくても携帯電話を使えるように、世界のマニュアルを読まなくてももちろん生きていける。
でもね。
読めば色々なことが判るようになるし、色々なことができるようになる。
わたしは、読んだ。
そして、世界を学んだの。
だから。
だからこうして。
あなたに話すことができる。
あなたの一部となることができる。
あなたと、ひとつになることができる。