隣の猫くん
「そういえば、あの先輩は結局誰だったの?」
話していて思い出した。あれから、あの先輩に会うことはなかったから、すっかり忘れていたのだ。
「鈴は忘れん坊だよなあ」
「おかーさん、昨日も鈴輝の部屋来てくれなかったもんね」
愛らしい我が子の主張に、そんな約束したなーと、思い出した。
「ごめんね、鈴輝。忘れてた」
「鈴、しょーがねーよ。おかーさんは、オレとの約束も忘れてたんだからさ」
「あれ、鈴亜とも約束してたっけ?」
「なーんだ、鈴も約束してたんだ」
「うん。鈴と同じ内容をね」
双子の主張に、亜輝も口を開く。
「そういえば、俺も……」
「えっ!亜輝ともしてたっけ……?」
私が慌てると、亜輝が吹き出した。
「嘘だよ」
「亜輝ってばひどい。
ていうか、結局あの先輩は誰だったの?」
「気がつかなかったかな?
いとこの早苗ねーちゃん。
後輩カップル見てて、彼氏さんに膝枕してあげようと思い立ったはいいが、足がしびれるって聞いたことがあるから、試してみようとおもったんだってさ。で、俺が協力したって訳」
「早苗ねーちゃんって……嶋田早苗さん!?
気がつかなかった……。
髪の毛長く見えたのは気のせい?」
「いや、彼氏さんにバレるとちょっとまずいから、ウィッグつけてたんだよ」
「ああ、なるほどね」
「さ、謎も解けたことだし寝よう!」
「「うん!」」
寝っ転がった亜輝の両サイドに双子が寝っ転がった。
「あれ?鈴亜、鈴輝、お昼寝嫌いじゃなかったっけ?」
「オレは鈴に付き合って起きてただけだし」
「鈴輝は、今の話聞いてたら、お昼寝したくなった!」
「そう、よかった。お休みなさい、二人とも」
「「おやすみなさい!」」
「……なぁ、鈴?」
子供の寝息が聞こえる中、亜輝が何やら思いついたように鈴の名前を呼んだ。
「何?」
「膝枕して」
「えー……」
「だめ?」
いたずらっぽく笑う亜輝に、鈴も微笑んだ。
「……だめじゃない!」
「ねぇ、鈴ちゃん?」
「何?」
「ずっと隣にいてくれますか?」
「……はい!」
一人の少女の恋は、愛となり、永遠に続くものとなった。
完結、です!
読んでくださった方、ありがとうございました!
付けたし
最終話の鈴亜と鈴輝は幼稚園生ぐらいの設定です。




