みなとちゃんと妖精の店5
カーテンが取り払われると、其処にあったのは、段ボールや木箱等があちこちに積まれている部屋だった。ふーむ、多分倉庫として使われているのかしら。
また、落下防止の為なのか、あまり高さのない柵が取り付けられていている。えーと、確か、ベビーゲートという赤ちゃんを通行止めにする柵くらいの高さかな。
でもって、上から全体的を見下ろせるところは、吹き抜けリビングに少し似ているかもしれない。うーん、屋内だけど、なんだかベランダにも似ているような気がするなぁ。
そんな場所にちょこんと立っていたのは、木箱を持った若い妖精だった。
妖精は、随分と変わった格好をしている。
顔面は……長い嘴のようなものがついた怪しいマスクで、口元以外を覆い隠している。
そして、服装は……執事カフェの店員さんが着てそうなカッコいい燕尾服を着用しているが、背中に生えているのは、カレンちゃんと同じ蝶の羽――つまり、性別は女性だね。
「やあ、大変お待たせしてしまって申し訳ない。隙間・ロジの店長のコウテイだ…………何だい、君たちか」
手に荷物を持ったまま、ゆっくり羽を動かし、二階からレジカウンターまで、ふわりふわり降下する。
彼女は床に足がつくと、木箱を足元にそっと置いた。
……なるほど、羽のある妖精は、あんな風にスムーズに二階から荷物を運べるのね。この妖精店の間取りは特殊で面白いなぁ。
「コウテイ、ミーナに一周目と同じ説明をしてちょうだいな」
「ん? 本日は、初心者ごっこの設定で遊んでいるのかい、カレンさん」
「設定ではないんだけど、とにかく、解説を頼むわ」
「……? よく分からないけど、初めて訪れたお客様向けってことだよね。いいよ、ちょっと待っててね」
コウテイという名前の妖精は、がさがさと音を立ててレジカウンターの下から何かを取り出した。




