連休前のみなとちゃん
明日は、私・カレンちゃん・みなと君・アイス君の四人で、妖精国へお出掛けします。凄く楽しみ~♪
アイス君と二人っきりでなら、遊びに行ったことはあるんだけどね。皆で待ち合わせて行くっていうのは、初めての出来事です。ついつい私もワクワクする気持ちになってしまいますね。
五月の連休前日に、一緒に登校していた沢村土筆さんから、とびっきりの情報を私は教えて貰う。
「そういえば、うちの学年に転校生が来るみたい。港は知ってた?」
沢村さんは、そう訊ねた後、髪色と同色の目を細めた。多分、風が少し強くて鬱陶しく感じたのだろう。
よく観察すると、時折吹く風が、彼女の葉桜のような若々しい色の髪を揺らしている。
今日は気温が上がるようだから、風があるのは嬉しいんだけど、髪が長いと風に遊ばれて不快になるよね。
沢村さんのかっちりと縛っている三つ編みでも、ゆらゆらと動くと嫌なものだし、ね。
「へぇ、転校生ね」
心の中で思いながら、相槌を打つ。
もしかして、転校生は攻略対象者の山田ハナ子さんではないかしら。
確かみなと君の用意してくれた攻略ノートによると、一学期か、または二学期のどちらかで転校して来るようだし。
でも、転校してくるのが早すぎるし、それに、結局私ってば一回しか連れ去られていないんだよね。みなと君の話だと、毎週連れていかれるって聞いたんだけどなぁ。何で駄目だったんだろう。
やっぱり、私が、みなと君ではないからとか? よく分からないや。
んー……そう考えると、転校生は山田さんではない可能性もあるのかな。
「連休明けてから、うちの高校に通うのだろうか? 気になるねー」
「それについては、ちょっと分からないけど、転校生は小桃の住んでいるアパートへ引っ越して来るらしいよ。小桃のバイオレットなんとかアパートに、宅配業者が荷物を降ろしていたらしいから」
「ああ、だから、やけに土筆が詳しかったんだ」
姫森小桃さんって独り暮らしなんだよね。
それならば、転校生の子も……って、山田さんではない可能性も出てきたから、アパートへ引っ越して来るのが男子高校生かもしれないんだよね。
ん? そうだとすると……同じ高校に通っている、同い年のアパートの住人になる。
素敵! 少女漫画的なラブストーリーが始まる予感。応援しないと。
「ふーん、転校生が女の子だからか、嬉しそうだね」
「あっ……女子なんだ」
「……? 何故がっかりしたような顔をするの、港」
残念ながら、姫森さんとのラブは無さそう。




