妖精の独り言
ミナミナの学習机の上に、小さなグランドピアノが置いてある。
それは、おもちゃ屋で売っているような蓋がなく、鍵盤が剥き出しの状態で、しかも、鍵盤の数がピアニカと同じ程度しかない玩具のようなピアノであった。
私は、そのちゃっちい玩具のピアノの譜面台に、ミーナのフルネームのみが書かれた小さな紙を楽譜のように置く。
すると、勝手に白鍵と黒鍵が動き出す。
ぽーんぽーんと、ピアノから四つの音が鳴った後は、短い休符を挟んで二つの音が流れている。
楽曲を弾いているのではなく、唯々、音を確認しているかのように、何度も繰り返しては鍵盤を叩いているようだ。
機械的で、つまらない音色ね。当たり前だけど……
私は、そんな感想を抱いてしまうピアノの音を耳を澄まして聴き、そして、呟きながらも分析をする。
「現在、ミーナが顔見知りになったのは四人。そして、親しくなれてないのは二人と……フンフンフン、ミーナと関わっている子は六人ってことね。まだ始まったばかりなのに、やるじゃない」
彼女たちとミーナの関係に、私は称賛を贈ろう。なかなかの進み具合ね。
分析後、譜面台の紙を入れ替える。入れ替えた紙にはミナミナの名前が書かれていた。
今度は白鍵のみが自動で押されている。欠伸が出そうになる退屈な音色ね。
「えっと、それで、アイスから貰った情報だとミナミナの方は、ふむふむ、顔見知りは二人。顔見知り未満は二人。合計四人と……って意外と少ない。数を絞っているの?」
このままで行くと、ミナミナは少人数で関係が終わってしまうのだけど、どうするのかしら? 担当ではないけど、気になるわね。
聞き逃さないように音を完璧に聞き取ってから、譜面台から紙をさっと抜き取る。
そうすると、連動してピアノの音がピタリと止まる。
「二人とも今回で最後のルートのはずだけど、最終的には誰を選ぶのかしら? それとも、誰も選ばないのもあるかも――どちらにしろ、私、いいえ私たちは主人公の選択を尊重しないとね……」
二枚の紙を学習机に置く。
先程まで人物の名前しか無かった紙には、音符が浮かび上がっていた――おもちゃのピアノで弾いた音を写し取ったようね。便利だわ。
彼方も私と同じ作業をしているのだろう。
情報収集もサポート妖精のお役目の一つだもの。面倒だけど、仕方がないわね。




