彼女は怪しむ
火置港。
あたしと同じ中学出身の同級生。
つくちゃん家の隣に住んでいる男子高校生。
誕生日は、確か夏休み前の七月。
身長は高くもなく低くもない、そこそこの大きさ。
体重っていうか体型は普通なかんじ。太ってもいなければ痩せてもいない。
得意科目は知らない。苦手な科目も知らない。でも、成績は真ん中ぐらいだったはず。
得意なスポーツは何だろう? 球技とか? 足は遅くなかった気がする。
趣味・特技は、勿論知らない。興味がない奴のことなんか、あたしが詳しく知るわけがない。
家族構成は三人。ペットは飼っていない。つくちゃん情報では、ね。
性格は不真面目ではないが、かといって、真面目な性格でもない。中途半端。
以上、姫森小桃が知っている、火置港の情報です。
「んー、つくちゃんの前では興味無し宣言したけど、なーんか引っ掛かるんだよねー」
ルーズリーフへ乱雑に書きなぐった後、シャーペンを指でクルクルと弄ぶ。
あいつって、もっとアホっぽくて・バカっぽい発言をしていた気がするんだよね。
それが、何故か影を潜めている。やっぱり高校生デビューを狙っているかんじ?
それとも、頭をぶつけた衝撃で煩悩が浄化。綺麗な火置になったとか? やだ、メチャクチャ可能性ありそう。
「どこぞの泉に突き落としたら、前の奴と取り替えてくれないかなー」
正直、前の俗物の方がこちら側としては都合が良いんだよねー、不満や愚痴を零しやすいし。
優しい人間、綺麗な人間――っていうのは、あたしとしては観賞用として愛でるだけで良いかな。苦手なタイプだし。
親しくなるのなら、適度な汚れが欲しいんだよね。
まだ新しい火置は観察中の状態だけど、綺麗な人間だったら価値があっても、そこまで深い関係になる必要はないね。
あたしにとっては、いけ好かなくて、全く好きになれないタイプだし。
「暫くは、つくちゃんの幼馴染みとして、適度の距離感を保つけど……あー、どうしようかなー」
高校もつくちゃんと登校する予定だったのに、今は火置と一緒。下校する時は、あたしと二人っきりになるけど、何か面白くない。
あたしとしては、応援するつもりだけどさー、邪魔したくなるんだよね。不思議だ。
シャーペンを筆箱にしまった後、テーブルに置いたルーズリーフをグシャグシャに丸めて、ゴミ箱へポイ。
気分は何故だかイライラ。台所へ行って気持ちの落ち着く飲み物でも口に入れようー




