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真面目な彼女

 キンコーン・カンコー


 チャイムが鳴り、十分間の短い休み時間に入る。

 次の授業での準備をしていると、あまり親しくないクラスメイトが、わたくしの方へ急ぎ足で向かって来るのを目にしました。

 そして、前を向いたわたくしと彼女は目が合います。

 あら、もしかして、わたくしに用事があるのでしょうか?



「あの、竜頭さん、その……よかったら、連絡先を教えてください!」


 まあ、課題の質問や移動教室の有り無しを聞きたいのかと思っていたのですけど、まさか、わたくしの連絡先を知りたいだとは思いませんでしたね。

 相風さんは善悪がしっかりとしている方だと認識しているので、教えるのはやぶさかではありませんが、何かしら事情があるのではないでしょうか。少し気になりますね。



「別に教えるのは構いませんが、何かあったのですか?」

「えーー……っと、その、あまり大きな声では、ちょっと言いにくいので、小声で伝えてもいいかな……?」


 どうやら、相風さんは周囲の目を気にしてる模様です。それならば、わたくしの耳を貸しましょう。


 彼女は、ゴニョゴニョと内緒話を耳打ちします。うふふ、少しくすぐったいですね。

 わたくしは扇子で口元を隠しながら、静かに彼女の相談を聞き入ります。



「………………」


 ふむふむ――どうやら、篤行さんを慕っている女子生徒たちに、相風さんは、放課後の時間に襲われたようです。

 しかし、残念ながら一度だけの襲撃では、目をつけられたかどうかは判りませんね。


 困りました。連続犯であるならば、対処は大変スムーズに行くのに……歯痒はがゆいですね。



「……なるほど、そのような事情でしたら、わたくしの連絡先を知っていた方が良いでしょう。それと、先輩方のトラブル以外にも困り事があるならば、わたくしが力になります」


 二度目がないと良いのですけど……フゥ、わたくしもしっかりと異常が無いか、目を光らせねばいけませんね。



「あ、ありがとう。これからよろしくね、竜頭さん」


 ……確か相風さんは、持ち上がりの生徒ではなく、高等部からの生徒でしたね。


 それは、この学園のお約束事にも慣れていない生徒ということ――わたくしは学級委員長ですから、不慣れな生徒のサポートも仕事の内です。きちんと彼女の見守りをしましょうか。





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