みなとちゃんと心配事
みなと君がステータスチェックをしたのか気になったのでメールしてみたけど、みなと君はなんと……忘れてたみたいだ。まぁ最初の数値は一緒だから、気にしなくて問題ないんだけどね。
それにしても、アイス君が重要な確認作業を見逃すなんて珍しいなぁ。疲れてたのかしら。
ロッカーから教科書を取り出しに廊下へ出ると、慌てた様子の姫森さんに出会った。
「ちょうどよかった、火置、英語の教科書を貸してっ!」
「うん、いいよ。あっ、電子辞書もいる?」
「それもお願い。ごめん、助かるー」
「別にいいよ。英語は午後の授業だし、次は数学だから辞書類は使わないし」
ロッカーから教科書を取り出して渡す。
さて、電子辞書は鞄の中だから、一度教室に戻らなければいけないなぁ。
「辞書をとってくるから廊下で待ってて」
ついでに数学の教科書とノートを机に置いておこう。
数学か、あまり得意な科目ではない。しかも、今日の授業は私に当てられる確率が低いと予想したから、まったく予習・復習をしてないんだよね。やはり過恋学園在学中と同じくらい勉強した方がいいのかしら。
どうしようかな、悩む。
やっぱり一週間のうち一日くらいは苦手な科目を勉強した方がいいかもしれないなぁ。授業に置いてかれるのって凄く嫌だし。勉強して損はないよね……
数学について気をとられていたら、教室の扉付近で男子生徒にぶつかってしまった。
「……っ」
「わっ、ごめん、大丈夫! ってなんだ、透輝か。あれ、顔色が悪い、保健室に行く?」
「あ……体調が悪いってわけじゃないから心配しないで。それじゃあ、僕少し用があるから……」
透輝君、元気がない。しかも覚束ない足取りだ。
心配だなぁ。やっぱり次の授業を休んだ方がいいんじゃないかしら。
「姫森、辞書を持ってきたよ」
「サンキュー! 授業が終わったら返しに行くから待っててー」
「あっ、うん」
廊下にて結城さんと透輝君が話し込んでいる。
何を話しているのだろう。気になる。聞き耳は流石に駄目だよね。
私がチラチラと二人を見つめていると、気になったのか、姫森さんも目を向ける。
「なーにを見ているのかなーって、結城君と岡本君か。あの二人って昨日から凄いことになっているから、大変よねー」
「え、二人に何かあったの?」
「むしろ火置は何で知らないの? 今日の登校中にも目撃した奴がいるのに、情弱すぎー」
昨日、彼らに何があったの!! 事件的な何か!? それとも恋愛的な何か!?
き、気になる……
「そーだ、教科書を貸してもらったし、お礼に教えようか?」
「うーん、いいや、本人に直接尋ねてみるよ」
「そう? まっ、聞きたくなったら言ってね。それじゃあ、あたしそろそろ自分の教室に戻るねー」
流れてくる噂話は、親しい人物ならやっぱり本人から聞きたい。ちょうどいいことに私は詳細が分からない、偏見なしの状態だ。これなら変に流されないで自分の考えを持てる。なるべく二人の意見に寄り添えるといいなぁ。
それにしても、余計なお世話かもしれないんだけど、みなと君になって初めて出来たお友達。困っているのなら、どーんと私に頼って欲しいのです。
小桃「教科書がキレイだなんて意外! 絶対落書きしていると思ったんだけどー」




