みなと君と先生
「ホームルームを始めるぞ、席につけ」
担任の倉持空男先生が教壇に立つ。
みなとちゃんのクラス担任は、メチャクチャでかい。身長が二メートル近くある。これでムキムキ目付き悪男であったら三怖なのだが、身長がでかいだけのわりと普通の見た目だ。髪も目も赤みがかったピンクで、寧ろ、癒しカラー?
いや、俺は騙されんぞ。こういう奴に限って無茶ぶり三昧するからな。
「すまん、本当は朝に渡す予定だったけど、うっかり忘れてたわ。廊下側の奴から取りに来い」
倉持先生改めモッチーはドザっと段ボールを教卓に置く。
ハイハイ、出席番号一番のみなとちゃんが、すぐに取りにいきますよっと。
「よぉーし、みんなに行き渡ったな。我が学園印の特別な防犯ブザーだ。学校や治安が悪い場所に行く時に、なるべく身に着けておけ。あー……あと使い方は、説明書でも読んどけ」
適当な説明だな、まぁ別にいいけど。
とりあえず、ぱんぱかぱーん、初☆装備品GET!!
それは――学園支給品の防犯ブザーですって、イエーイ。俺はRPGの初期装備品や最初にお店で手に入れる装備品が大好きだ。そう、絶対に売らずラスボス戦まで持っていく派だ。但し、身に着けるのは、別の装備だけどね。
さて、これについて俺が何を言いたいか――それは装備しないということだ。テンションがガンガン上がるけど、着けない。それほど重要な装備に見えないからね、悪いな、防犯ブザー君。
……つか、モッチー先生が朝の内に配ってくれていたら、試せたじゃん。ドドンと先輩に向かって一発かませたんじゃありませんか。担任のうっかりでチャンスが潰されてしまった。まじ不運。
次だ、次の機会を狙おう、俺。
「相風、ホームルームは、とっくに終わったぞ。暇なのか、なら特別にお使いをしてもらおうか」
ぼーっとしてたら、モッチー・ティーチャーに絡まれた。めんどうだ。すたこらさっさと帰ればよかったなぁ。
防犯ブザー:湊が最初に手に入れる装備品。1シーズン欠かさず毎日身に着けていると、ある称号が贈られる。目立った効果がないようだが……




