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彼女の決意

「姉ちゃん、お友達が来ているよー」


 自宅に帰ると、弟の芽依めいがドタバタと廊下を大声で走りながら、玄関に近寄って来る。もう高学年なのに、いつまで経っても落ち着かない子だ。



「お友達って誰?」

「ももちゃん! ももちゃんから姉ちゃんにってチョコを貰った! すごく美味しかったよ」


 友人の小桃が遊びに来たようだ。

 珍しい、いつも来る前に連絡をよこすのに。



「姉ちゃんが居なかったから、とりあえず、リビングで一緒に待ってたー」

「そう、ありがとう。だけど、芽依、夕飯前にお菓子を食べちゃ駄目って言ったでしょっ。今度やったらおやつを減らすからね」


 きちんとお留守番をしていたようだから明日のおやつは奮発しようと思ったけど、今回はなしだ。まぁ小桃からお菓子を貰ったようだから、特に問題はないだろう。








「……で、どういった用件?」


 リビングだと弟に盗み聞きされる可能性があるので、小桃にはわたしの部屋に移動してもらった。



「相変わらず腹ペコ状態のつくちゃんは、機嫌が悪くて嫌になるなぁ、チョコでも食べる?」


 小桃はスマホをいじりながら茶化す。

 ……彼女は重大な出来事の前は、わざと場を茶化す悪癖がある。


 猛烈に嫌な予感がする。



「冗談だって、そんな苦虫を潰した顔しないでよ。今日さ、君の幼馴染を見かけたんだけど、あの()()()()と一緒にいたんだよねー」


 そう言って小桃は、わたしにスマホを見せる。写真は、ぼやけていたが、二人が並んで写っていた。



「これは流石にヤバイから、つくちゃんに報告しに来たんだよ。ゴメン、迷惑だったー?」

「ううん、むしろありがたい。まさか、港にちょっかいをかけるなんて思わなかったから……少し動揺してる」


 港が彼女と接触していたなんて、まさに寝耳に水の情報だ。




「――――小桃、わたしね、港が誰と仲良くしてもあいつが幸せなら、それで構わないんだ」

「おっ、物欲で強欲なあたしには考えられない台詞せりふだね。つくちゃん健気で可愛いー♪」

「でも、あの人は港を必ず不幸にする。だから……わたしがあいつを守るっ!」

「おー、つくちゃんは参戦するんだ。あたしも火置が好みのイイ男になったら混ざるつもりだからよろしくね。なーんてね、アハハっ」



 小桃は不真面目で全くやる気のない宣言しているが、あの子は本気になったら絶対にゆずらない性格をしている。

 だから、あまり港に興味を持って欲しくないが、彼女が関わってくるなら話は別だ。小桃には大いに協力してもらう。




 

沢村さわむら芽依めい:土筆の弟で小学生。授業でやった一輪車が上手く乗れなくて、放課後、学校の中庭で友達と特訓している。

イメージカラー 黄緑

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